twenty eight. ページ30
前日準備はものすごく忙しかった。
私と坂田のふたりは委員会とクラスを行ったり来たりでヘトヘトだ。
家に帰るやいなや、泥のように眠りについた。
文化祭当日。
校内はこれでもかというくらい盛りあがっていた。
普段は制服を着ている生徒たちも、きらびやかな服を身にまとい、女子はいっそうかわいく、男子はよりかっこよくなっている。
それは私たちのクラスも同様で、みんな浴衣に着替え始めた。
お祭り気分でテンションがあがる。
私もそらるんの妹さんに着付けをしてもらい、クラスの器用な女子にヘアセットをしてもらった。
メイクもいつもよりしっかり整え、鏡で確認し、教室に戻った。
かたちだけのHRを行い、最終確認のため坂田に話しかけようとした。
「っ///」
赤を基調とした大人っぽい浴衣を身にまとった彼。
髪を軽くセットして腕を組む様子は、かっこいいとか、そういう類の言葉じゃあらわせないくらいのもので、ただただみとれていた。
私の視線に気づいたのか、彼はこっちに向かって歩いてきた。
坂「どしたー?」
『あ、最終確認しようと思って。』
坂「おーおけおけ。」
坂田が私が手に持つプリント類を覗き込もうとして、距離が近づく。
いつもと違う日、いつもと違う服装、いつもと違う距離。
いくつもの"違う"が重なって、鼓動がはやくなる。
確認を済ませ、2人の距離が一歩分遠ざかる。
坂田は私をマジマジと見つめ、顔を真っ赤に染めていた。
坂「あ、その、似合っとるな。」
1度逸らした視線を私の目へ戻し、
坂「かわいい」
そう言って足早に去っていった。
(な、な、なんなのアレ?!?)
心臓がどくどくとうるさい。
頭のてっぺんから足の先までビリビリと電流が走ったような甘さが体内を侵していく。
恋をしたことがある人ならだでも分かるだろう、好きな人からの"かわいい"は何よりも偉大だ。
しかも、浴衣で3割増はかっこよく見える。
なんか悔しくて、私も伝えたくて、彼が1人になった時を見計らって、裾を引っ張り、少し背伸びをした状態で、
『かっこいいんじゃないの、?』
と耳元で言った。
で、今その行動を全力で恥じて全力で後悔している人が私です。はい。
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翠(プロフ) - ゆっこさん» 最後までありがとうございます!青春良いですよね〜!部活メイン恋愛ありですね!が、頑張ってみます! (2020年5月4日 8時) (レス) id: 6199f933f2 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - Aliceさん» もちろん覚えてますよ〜!!すごく嬉しかったです! ええ読み直しまでしてくださってるなんて、、ほんとに嬉しい限りです(><) 頑張りたいと思います! (2020年5月4日 8時) (レス) id: 6199f933f2 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 希さん» 匂わせ回収させていただきます!笑 (2020年5月4日 8時) (レス) id: 6199f933f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - コメント失礼します、完結おめでとうございます!やっぱ青春っていいですね…。リクエストで、部活がメインで恋愛要素もちょくちょく入れてくるような小説がみてみたいです!こんなのネタになるかどうかわかりませんが、書いてもらえるとめっちゃうれしいです! (2020年5月3日 23時) (レス) id: e1ca89b04e (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - 翠さん» お、覚えていらっしゃるんですか!!?う、嬉しいです(´;ω;`) リクエスト了解ありがとうございます!翠様の思うラブラブ感で大丈夫ですよ!もう既に今までのでキュンキュンしてもう一度読み返してる所なので← (2020年5月3日 23時) (レス) id: 9ab20d91b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翠 | 作成日時:2020年4月26日 16時