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イラついた店員はカウンターから出て、私の目の前に立った。
推定身長170近くのイケメンを、私は見上げて睨み返すことになる。こんなとこで負ける訳にはいかない。
一方、女子高生は目を泳がせて固まっていた。
『あの、もし貴方がその男を好きになりかけてるんだとしたら』
店員を無視して、私はちったんの説得を試みる。
すると店員は、私とちったんの間にグイッと割り込んできた。なんなんだこいつ。邪魔の仕方小学生か。
『それは気のせいというか…とにかく、貴方には危険な芽が咲き始めてる。ストーカーは、相手の都合を無視して自分の感情を押し付けてきます。
本当に貴方が好きだったら、そんなことはしないはずでしょ?貴方の気持ちを尊重してくれるはずでしょ?』
ち「そう……かな?」
ちったんの声は少し震えていた。
「逆じゃねえの?本当に好きだったら、自分の気持ちを押し付けずにはいられないんじゃないの?
だって、自分の気持ちなんて一々コントロールできねぇよ。遠くで静かに見守るだけなんて、対して好きじゃないってことだろ」
『いやいや、そうじゃないです』
私はとうとう店員を押しのけて、ちったんの前に立った。
『自分の気持ちを押し付けたがるのは、幼くわがままな感情です。
あのね、百歩譲ってその男の恋愛感情が本物だとしても、相手が危険なことには変わりないんです。
家族に相談とかしてないの?親御さんと一緒に警察に』
ち「そんなことしない!!私ももう、彼のことが好きに…」
『だから、そんなのは妄想みたいなも……ぐっ…』
この子の身の安全に関わるのだからと、多少強くなった言葉がくぐもる。
背後にいた店員が、私の口をその手で覆ったからだ。
ち「妄想……じゃ、ないもん……」
ギリギリ聞き取れる、小さな声だった。
もがいてる私を見ず、かといって店員を見てるふうでもなく、喫茶店の古い床板に向かってその言葉は溢れ落ちる。
ち「妄想なんかじゃ」
苦しそうに繰り返された言葉の途中で、彼女はカウンターの上にあったカバンをむんずと掴み店を飛び出していってしまった。
直後、また扉が開いた。
阿「ねぇ、さっきちったん飛び出して行ったけど……って、え?」
「あ、阿部ちゃん」
阿「え…えっと…二人ともそういう感じ?」
『んーー!!』
「うぉっ、わりぃ」
店員は阿部ちゃんを手招きすると、二人で何やらこそこそ話していた。
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作者名:みたらし | 作成日時:2023年8月8日 19時