オレとオマエ、睨み合い中。【青】 (ページ20)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:34,379 hit

. ページ20

近くの高齢者福祉センターが開く午前八時半が近づくと、店からサーっと人がいなくなる。

ようやく一段落したところで顔を見せたのは、さっくんだった。

佐「にゃーっす…翔太、水くれ…」

渡「うぃー」

と軽く返事をし、コップに水道水を流している。

『昨日飲みに行ったの？』

『翔太、仕事疲れの私にもトーストとコーヒー！』なんて頼みながら、さっくんの隣に腰を下ろした。

佐「うん…この間のイベントの打ち上げ。」

『はぇー、忙しいのね…』

佐「まぁね～、でも歳にしては動けるよ！」

気だるげそうに右腕にできたこぶをぱしっと叩いてみせる。

「俺だって疲れてるっつーの…」とぶつくさ言いながら、翔太がコーヒーを持ってきてくれた。

佐「A、コーヒー飲めんの？」

『うん。コーヒーは好きだよ』

佐「まじかー、俺飲めないんだよなぁ」

『お茶もダメじゃなかった？』

佐「そう！だからここ来たら昆布茶か水しか飲んでない！」

お茶と昆布茶は違うのか。

そんな雑談をしながら、さっくんが実際に踊っている動画を見せてもらった。

『わ、…すごっ』

アクロバティックな動きに、複雑なステップ。

本当に、中学時代の佐久間大介とはまったく別人に見える。

佐「YouTubeにも検索かけたらたくさん出てくると思うからさ、見てみてよ！」

渡「お前、ほんと動きが30じゃねぇよな」

トーストを焼き終えた翔太が、私の隣に腰掛けた。彼もまた、コーヒーとトーストを食べようとしている。

渡「つーか今日阿部ちゃんは？一緒に来ないの珍しいじゃん」

佐「あー、阿部ちゃんは朝から中学生の受験対策プリント作ってたよ！」

『熱量えげつないね』

佐「阿部ちゃんは教えるの上手だし、子供の相手するのも上手いからね」

『適職じゃん、いいねぇ』

佐「Aはいつから出勤？」

『明日からだよ』

佐「あ～、じゃあもうバイト期間も終わりかぁ」

「翔太だけだと華がないね」とおどけて笑うさっくんに、「おいコラ」と翔太が突っ込んだ。

渡「佐久間、次はお前がバイトリーダーだ」

『もう…まずバイトリーダーって、複数のバイトしてる人をまとめる仕事でしょ？一人しかいないじゃん』

渡「は？バイトリーダーの方がまだ格上な感じでかっこいいだろうが！」

ほんと言ってることむちゃくちゃだな、コイツ。なんて思いながら、不満そうな翔太を睨み返した。