オレとオマエ、睨み合い中。【青】 (ページ22)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:34,356 hit

爛れぬ夢ページ22

「今日より東京本社から異動してきた、柳瀬Aさんです」

『ご紹介預かりました。本日からこちらの商品企画部に配属なりました、柳瀬Aです。

中学時代に雪森町ではお世話になったのですが、まだ未開拓地も多いので…皆さんに教えてもらえるとありがたいです。

これからどうぞよろしくお願いいたします』

朝礼時間、すらりと考えていた紹介文を読みながらぺこりと頭を下げる。

拍手に包まれ、なかなか良さそうな職場だな、と感じた。

指定されたデスクに着き、周りのものを整頓する。

私が働いている"商品企画部"では、市場のニーズ→会社の戦略を正しく理解→自分のアイデア→商品化という順番で戦略を練るもの。

パッケージはどうするか、味はどうするか…成功して周りが笑顔になっていく姿は、何度見ても飽きないものだ。

「Aちゃん……って言ったっけ？」

ふいに、こそっと横から声が聞こえた。

横を振り向くと、商品企画部には似つかない…(偏見だけど)ひょろひょろな男性。

『え、…えっ、と？』

田「俺、田中樹！一応Aちゃんに色々教えるよう言われてるからさ」

と、胸を張っている。どうやら隣に座っていたらしい。

多分この人絶対、私より年下だ。だって、ノリが……

「あっ、樹これ任せれる？」

田「うっす！」

「じゅった～ん！この間のコラボパケの話なんだけど…」

田「商談行けた？ダメだったら俺がもう一回行く？」

なんか…"The･高校生の一軍"って感じ。

文化祭とか体育祭も張り切ってやるタイプの、皆から好かれてるこの感じ。キラキラと眩しい。

田「ごめんごめん、話がごちゃってさ」

『いえ…その、なんかすごい…ですね』

田「え？」

『あっ、えと、あんまりここまで全員と話してる人見たことないから』

田「そりゃあ東京本社は人多いっしょ！まぁ、爆モテじゅったんなんだから当たり前ってコト」

ドヤりながら、私に片目ウィンクを決める。

うーーーーーん、これはモテるぞ。相当。

『ば、ばくもて…』

田「あっはは！そんな難しい顔して捉えんなって！」

『なるほど』

「不思議な子だねぇ」なんて言いながら、まだ半笑いの彼。

こちらからしたら、あなたのカリスマ性の方が不思議でたまらないのだけれど…

田「そうだっ！今日の夜空いてる？」