おまけ 店員さんのクリスマス ページ34
ー店員side
『クリスマスかぁ、』
この季節はなんとなく憂鬱。
お店にくるお客さんは大抵カップルで、
買っていくものなんて、決まってお揃いのもの。
私だってお揃いとか欲しい。
けどそんな相手がいるはずもなく、
こうして聖なる日にバイトで稼いでいるわけだ。
サンタさん、王子様でも連れてきてくれないかな...なんて叶うはずもないお願いをしながら棚を整理していると、ざわつく店内。
なんだろ?
そうふと店内を見回すと、
......いた。
スラリと高い身長に、直角肩。
ダビデ像のようなスタイルで白セーターを着こなす、顔の整った男の人。
その芸能人のようなルックスと、漂わせる甘い雰囲気に思わず息をとめる私。
こんなピンク色の、女の子向けの雑貨店に似合わない王子様。
視線を集めるのに充分すぎるその人は、あろうことか私に向かって歩いてきた。
な、なななんで私に向かって歩いてくるんですか、、!?!?
ああもっと可愛いくしてこればよかったとか、こんな顔見られたくないとか、焦る私に容赦なく目の前で止まる彼。
「あの」
「防犯ブザーって、売ってますか」
え?
.....防犯ブザー?
予想外の言葉に、フリーズする私。
なんで防犯ブザーなんだろう。
そう疑問に思いつつ『こちらです!』と案内すると、じーっと見つめて手にとってあらゆる角度で見定めてから、
「あの、もっと可愛いのって無い?」
そんな事を言い出した。
それを聞いて察する私。
ああ、この人には、大事な人がいるんだと。
防犯ブザーを見つめる目が、信じられないくらい優しくて。
それでいて真剣で、まるで自分の代わりを探しているようで、胸が苦しくなった。
レジに持ってきた防犯ブザーは、私が勧めたピンク色の花柄のもので、心なしか照れている様子の彼に目眩しそうになる。
こんなにも大事にされてる子が、羨ましくて仕方がない。
きっと、すごく大好きなんだ。
私の恋も、あっという間に終わったな。
ううん、でもいいや。
なんか、今とても幸せ。
綺麗にラッピングをして、おまけのハートのシールを貼って渡すと、彼は嬉しそうに頰を緩ませ、
「綺麗に包んでくれて、ありがとうございます」
と、泣きたくなるくらい素敵な笑顔。
『彼女さん、喜んでくれるといいですね』
そう言うと目を丸くしてから、
「まだ、彼女じゃないんですけどね」
「頑張ります」
ああもう私、胸がいっぱいです。
ー
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hana(プロフ) - こんかいのでき事すごく楽しそうで、たまにいれていただいたら、光栄です!これからも応援してます!頑張ってくださいf^^*) (2016年1月10日 22時) (レス) id: 576b68fcef (このIDを非表示/違反報告)
アラム(プロフ) - 最高すぎて、有難う御座います。ドキドキワクワク毎回させてもらってマスこれからも、更新頑張ってください! (2016年1月10日 10時) (レス) id: 0939c38a0c (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 最高すぎます(T . T)この更新が楽しみすぎて占ツクから離れられません(T . T)笑 (2016年1月8日 0時) (レス) id: 401d90d325 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - とてもいい話です!!これを読んでから妄想が止まりません!!笑 更新楽しみにしてます!! (2016年1月6日 21時) (レス) id: c2a87d0b9a (このIDを非表示/違反報告)
あい - めっちゃきゅんきゅんします 笑 更新とっても楽しみにしてます!!!! (2016年1月6日 1時) (レス) id: 6ee7eb1579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:haru | 作成日時:2016年1月1日 0時