名前【服部耀】 ページ14
「マトリちゃん。」
「あぁ、マトリちゃんか。」
「なーにしてんの、マトリちゃん。」
私は思うことがある。
「うーん……。腑に落ちないなぁ…。」
「何が？ラーメン？」
「有難く頂きます！」
服部さんに奢っていただいたラーメン。
それを啜りながら、彼の言葉を思い出す。
私、仲間として認められてから
マトリちゃん卒業したんじゃ…？
スタンドとして認められて
正義さんの事も名無し事件も
一段落ついてから。
彼はまた私をマトリちゃんと
そう呼ぶようになった。
「何、睨んでるの。マトリちゃん。」
「っ！そう！それです！」
今考えていた言葉が直接彼の口から出た。
思わず箸を置いて彼に指を指す。
「え、なに？」
「いや…素朴な疑問なんですけど……。」
「ほぉ、いってみんさい。」
「…マトリ、ちゃんって。
認めて貰えたはずなのになんで
まだ呼ぶのかなって……。」
服部さんは納得したような顔をして
すぐにまたチャーハンを口に入れた。
いや、なんで返事する前に食べるの…。
飲み込んでたっぷり時間をおいてから
彼はようやく口を開いた。
「だって名無し事件は片付いたでしょ？
まぁ、まだ全てが終わった
わけじゃないけど。」
「…スタンドは存続ですよね。」
「勿論仲間だと認めてない訳じゃない。
何かあれば助ける。守る。当然。」
そらされた目が再び合う。
「ただ単純に名前で呼ぶ理由が
遠くなっただけだよ。」
「理由？」
服部さんはにやと笑うと
「今君をAって呼んじゃったら、
楽しみがなくなるからねぇ。
まぁ、もう少しの辛抱ってとこ？」
「辛抱って…。」
それってもう少ししたら
名前で呼んでくれるってこと？
もしかしてそれくらい大きく仲間になれる
ような事件や出来事が…？
うーんとまた唸る私に服部さんが
耳元で小さく呟いた。
「大丈夫。近いうちに
手に入れるつもりだから。
そうしたら本当の意味で
君を名前で呼ぶから。」
続く
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作者名：芋ようかん | 作成日時：2020年1月19日 23時
