押されて押して褒める ページ7
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はぁ。
ため息を押し殺すように、ワインを飲む。
ある日の夜、私はアクアリウムバーにて1人で、サンジくんがリフトサービスで届けてくれたスイーツを食べていた。
「どうやったら、年相応に見られるようになるかしら……」
「あら、喧嘩売ってるの？」
「きゃっ、い"だい"」
ギブアップギブアップと何処からか生えたロビンの腕をトントンと叩くと、うふふ。という声が聞こえた。
扉の方をみると、本を2冊ほど小脇に抱えたロビンが入ってくる。
「ロビン、びっくりするじゃない。本を読みに来たの？」
「ええ。Aがアクアリウムバーにいるって聞いたから、話しながら読もうと思って」
そう言って私の隣の席に座ったロビンは、私に微笑んだ。
その色気ある微笑には、同性の私もクラッとしてしまう。
私が見とれている間に、リフトでツマミに丁度いい軽食が降りてきた。きっとロビンがバーに降りる前にサンジくんに頼んでいたのだろう。
少し量が多いと思っていたら、私の分も頼んでくれていたようで。そんなさり気ない気遣いも、とても大人っぽくて憧れる。
「私、ロビンに弟子入りしようかしら」
「どうして？」
「だって、ロビンは大人の色気もあるし、さり気ない気遣いもできる。私の憧れる女性そのものだわ」
「そうかしら。それを言うならAは気品があって、そこが大人っぽいと思うわよ？元貴族だから、っていうのもあるんでしょうけど」
気品……全然考えたことがなかった。
ロビンの言う通り私はこの一味に入る前、一国の上流貴族に分類されていた。
幼い頃から英才教育を受け、決められたレールの上を歩く。
そんなつまらない日々から救い出してくれたのは、一冊の旅行記だった。
私はその本を読み込み、自分の中で他の国々を想像で旅した。それをきっかけに、次第に自分の足で旅してみたいと思った。
でも、叶わなかった。
旅行記などはギリギリ娯楽の部類とされ、隠し持っていた一冊以外は手に入れることもできず、他国に行くなんて以ての外。私は国内の同じ貴族と結婚させられ、一生国内に留まる運命だと、そう決めつけられていた。
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作者名：だてこ | 作成日時：2020年8月24日 19時
