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目を丸くしたサンジくんが、どうしたんだい？と優しく尋ねてくれる。
私はそんなサンジくんに、腰に着けていたウエストポーチから封筒を取り出して渡した。
「ごめん、遅くなったけどこれお酒代ね！荷物も持ってくれてありがとう！」
「え！いやいやいや！受け取れないよ。酒だって食費のうちさ。それに荷物だって持ちたくて持ったんだし」
私の手を優しく押し返す彼の手
それを私は自分の手で包み込み、こちらも押し返す。
「ダメよ！食費は食費でも私の趣味だもの。ね、お願い」
「なっ…!?Aさ、んが俺の手を握っている……!?って、いやいや！本当に大丈夫だから……！」
私の手握り＆小首を傾げるという(自称)大人のオネダリ攻撃を炸裂させるが、それでも困った顔をして受け取ってくれない。
このままじゃ埒が明かないどころか、サンジくんの時間を奪ってしまっている。
私はどうにか……と考えているうちに1つ、彼が先程言っていたことを思い出した。
「……どうしても、受け取ってくれないならしょうがないわね」
「わ、わかってくれたかい？それに、いつもAさんには世話になってる…し…」
優しく私を説き伏せるサンジくんの手を引き寄せて、
チュッ。と眉にかかっている長い前髪にキスをする
「んｯｯ！？！？！」
口を離しニコッと微笑むと、サンジくんは爆発音が聞こえそうなほど一瞬にして顔を赤くした。
「お礼は愛のキッスでも、って言ってたでしょ？うふふ、じゃあ今日は本当にありがとうね」
そう言って立ち上がり、キッチンをあとにするべく歩き出す。
「うおおおおおおおおお！！」
お邪魔しました、とドアを閉めた瞬間、椅子が転がる音と雄叫びが聞こえた。
それを聞きながら、初心で可愛いなあ。と笑いながら部屋へと戻った。
心臓がドキドキ高鳴り、顔が赤くなりそうなのを必死に抑えながら……
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作者名：だてこ | 作成日時：2020年8月24日 19時
