・ ページ4
．
魚、パン、米、果物。様々なものを両手で抱えつつ、肩には私が買った服やメイク用品の袋を下げてくれているサンジくん。私の方が年上なのに…なんて申し訳なくなりながら、私達は船へと向かう。
「ありがとうサンジくん。帰ったらお酒のお金払うから！」
「いえいえ。レディが困っていたら助けるのが男の役目です。それに、珍しいチーズも手に入りましたし」
そういいながら手に持った袋を肩まで持ち上げて揺らしている。
「と言ってもやっぱり申し訳ないわね、荷物も持ってもらってるし。何かお礼できないかしら？」
「いやいや、お礼だなんて。俺はただAさんを手伝いたかっただけですから！」
お礼を申し出ても、塞がった手を振りながら、私の顔を見て首を振る。
彼は本当にそこ抜けて優しいが、それ故に損することも多いのではないだろうか。
そう心配してしまうことがしばしばある。
「でも、それじゃ私の気が済まないわ!大人の女性たるもの、お礼は誠実に、よ！」
私の力説をニコニコしながら聞いてくれたサンジくんが口を開いた。
「それじゃあですね、さっき買ったお酒。一杯飲ませてくれませんか？」
え？そんなことでいいの？
予想していなかったお礼ではあるが、もちろんOKである。
なんなら足りないくらいではないか と聞くと、それなら愛のキッスを〜♡♡とまたクネクネしはじめたので歩く速度を早めた。
「ああー！待ってよAさぁぁーん！」
「んふふっ」
元気に駆け寄ってくるサンジくんを尻目に、何気ない幸せだな〜。と感じる。
．
船に戻ってからも、サンジくんは丁寧に荷物を部屋まで運んでくれた。
そこで私達は別れて、その後はまた個人で散策に向かった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：だてこ | 作成日時：2020年8月24日 19時
