押して押されて"可愛い" ページ16
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どこかの国では、10月31日から11月2日までの間、ハロウィンという行事があるらしい。
どんな行事なのか詳しく知らないが、噂では仮装した子供達が「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」と街を練り歩くというものらしい。
それをどこからか聞きつけたルフィ、ウソップ、チョッパーはここ2,3日 数時間置きにお菓子をねだりにやってくる。ほぼワンパターンの仮装もして。
最初はみんなそれに付き合っていたが、次第に飽きてきたメンバーはもう構うのを辞めたらしい。私はというと、毎回丁寧に飴や小包のチョコを渡している。だってあげないとしばらくブーブー言いながら付きまとわれるんですもの。
時計を見ると、前に来てから4時間は経っている。そろそろ来る時間だ。
机の上に小包のチョコを何個か用意していると、ゴンゴンバタン！！とノックがほぼ意味を成さない勢いで女子部屋のドアが開かれた。
「おらー！！！菓子くれぇー！」
「お菓子をくれなきゃこのキャプテン・ウソップ様が8000人の子分と共にイタズラしに行くぞ！」
「トリックオアトリートだぞー！オレにもお菓子をくれー！」
元気に三者三葉の決めゼリフを言いながら部屋に突入してくる3人。このゼリフもほぼワンパターンで、もう10回は聞いている。
「用意してるわよ〜」
「「「お〜！！」」」
キラキラした目で3人は手を差し出してくる。そこにポンポンと小包のチョコを乗せていくと、明らかに肩が落ちる。
「またチョコー！？飽きた！」
「はぁ！？失礼なヤツね。我慢しなさい！」
反応の悪い3人をカッと威嚇すると、3人は渋々受け取ってズボンのポケットに突っ込んだ。これは絶対に、後で見つけたらベトベトに溶けているパターンのやつだ。
「ちぇー、目新しいもんはもう誰からも貰えなさそうだな」
「ロビンにも、もう無いから次はあげられないって言われたし……」
「菓子が無いなら肉をくれ！肉！」
子供3人組は明らかにしょぼくれる。そんな姿を見ると、大人として申し訳ない気持ちと、お姉さんとしてどうにかしてあげたい気持ちが生まれてきた。
「そうだ、キッチンに行けば何かあるんじゃないかしら。しょうがないし、次にあなた達が来るまでになにか見てきてあげるわ」
ふふんッと腕を組んで3人にそう言うと、みんなは喜んで「じゃあ次はゾロのところ行って来るぞー！」と出ていった。なんと単純で可愛らしい。
私は余ったチョコを食べながら、ひと肌脱ぐべくキッチンへと向かった。
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作者名：だてこ | 作成日時：2020年8月24日 19時
