隣人は平野くん

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｢え、あんたどうしたの｣




茉菜が驚くのも無理はないか。


｢ちょっと気分転換？｣




長かった髪をボブに変えてみた




｢平野関係かと思った｣




｢ちょっとやめてよ。｣


あのアパートを引っ越してしまった今、平野くんとの繋がりはなにもない。



ただ消せずにいるLINEだけ。



今でも既読をつけていないメッセージはいつの間にか20件を超えた。




｢絶対平野Aのこと好きだったって｣




｢遊ばれてただけだよ。隣人がファンなんてそんな面白いことないでしょ。｣




ちがう。茉菜にはこう言ってみたけど









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あの日、平野くんからの不在着信に気づいた時には指が勝手に動いて発信ボタンを押していた




｢も、しもし｣



『Aちゃん？今どこ？』



｢ごめんなさい。やっぱりあの家には居られないです。｣



『ごめん。俺のせいやんな』



｢平野くんは悪くないです。｣



『なあ、Aちゃんは俺のことどう思ってた？』



｢え、｣



『俺ライブで見た時からずっとずっと好きやった。振り向かせたくてバイト先まで行ってって、、かっこ悪いよな』



｢わたし、は｣


((A〜？))



｢ごめんなさい。友達来たので切ります。今までありがとうございました｣









あのとき気持ちを伝えられずに終わってしまった




でも後悔なんてしない。そう決めたのに。




｢Aなにぼーっとしてんの。｣



｢あぁごめん(笑)｣









人間の感情はどうしてこうも抑えられないのだろう

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