【第十八章】-2 ページ4
私は本を受け取って、ソファに座った。
その本の表紙には、タイトルが書かれていなかった。
不思議な本ね……
そう思いながら、私はその本を読み始めた。
その本は、主人公が少女の物語だった。
私が集中している間に、彼女たちは、出て行ってしまったようだ。
しばらくして、突然、私の隣に誰かが座ってきた。
ソファが軋んで、少しそちらに身体が持っていかれそうになる。
いつ入ってきたのか、扉の音さえしなかった。
いや、私が本に夢中になりすぎていて、気が付かなかっただけかもしれないけれど。
チラッと横を見ると、イソップさんだった。
彼も何かよくわからない本を読んでいるみたいだったけれど、表紙のタイトルは何故か上下逆の位置にあった。
逆さにして本が読めるのかしら……
そんな事より私は、人が苦手な彼が、何故わざわざ二人がけのソファに座りに来たのか考えてしまい、本への集中は完全に途切れてしまった。
だって、向こうにテーブルと椅子もあるのに……
私はただでさえ、男性が苦手なのだから、必要以上に近づかれると怖いし、イソップさんだって人が苦手だとエマが言っていたではないか。
あれは嘘だったのかしら……いいえ、エマは嘘なんてつかないわ!
本を読んでいるふりをしながら自問自答を何度か繰り返したけれど、解決の目処は立たなかったので、私はまた、本に集中する事にした。
物語の続きでは、主人公の少女が、生まれて初めて少年に恋をし、初めての気持ちに心躍っていた。
けれど、そこまでの内容で、文章が止まっている。
あれ…終わっちゃったの…?
せっかく集中し直して続きを読み始めたのに、案外すぐに終わりはやって来て、少し悲しかった。
167人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あねも(プロフ) - ヒナさん» ヒナ様コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れてしまい申し訳ないです(><) そのような感じを匂わせて書いております^^* (2020年1月8日 0時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ - 誰かがこの本書いてるんですかね?実際にあった3人のことを (2019年12月20日 23時) (レス) id: 29323fd56d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あねも | 作成日時:2019年8月10日 17時