【第二十一章】-5 ページ18
すると、先ほどの少し強気な彼は一瞬にして消えて、焦った声が聞こえた。
「あ、ご、ごめんなさい…!顔に当てるつもりは無かったんです…!だ、大丈夫ですか…?」
顔について溶けた雪の水滴を拭いて、目を開けると、もう立ち上がって、上から心配そうに私の顔を覗き込むイソップさんの顔があった。
「だ、大丈夫です…!」
思ったよりも顔が近くて、ちょっと恥ずかしかったから、私は顔を横に逸らした。
「良かったです…。あ、雪だるま、できましたよ!」
イソップさんが指さした先を見ると、先ほどまで一生懸命作っていた身体が完成し、私が作った頭もしっかりと乗せられて雪だるまができていた。
「可愛い〜!」
私は雪だるまの目を掘って、手の所にそこら辺にあった枝を刺した。
それから、イソップさんが少し太めの枝を口の部分に横向きに付けた。
「完成ですね…!」
建物の中に移動したけれど、ずいぶん長い時間、冷たい雪を堪能していたからか、私は少し冷えてしまったみたいで、ベールを巻き直した。
「寒いですか?僕の上着、貸しますよ…?」
そう言ってイソップさんは、上に着ていた黒い上着を脱いで、私の身体に掛けてくれた。
彼の体温がまだ残っていて、温かい。
「ありがとうございます…!でも、イソップさんが寒くなっちゃいますよ…!」
「大丈夫ですよ…!僕は下にこれ、着ているので。」
彼は上着の下に白いTシャツらしきものを着ていた。
イソップさんは、思っていたよりも優しい方だ。
そして、私はずっと気になっていたことを、思い切って聞いてみた。
「イソップさん、私の事、嫌いじゃないんですか…?」
「…へ?」
私の質問に、イソップさんは、灰銀色のクリクリのお目目をもっと丸くしてこちらを見た。
「い、いえ!嫌いなわけ、ないじゃないですか…確かに僕は生者が苦手ですが、Aさんはその…むしろ好き…というか、あ…!あの違うんです!好きって言うのは歌声の事で…!いえ!Aさんの事も好きですけど…!」
イソップさんは、動揺むき出しで、とても焦ったように色々口走っていた。
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あねも(プロフ) - ヒナさん» ヒナ様コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れてしまい申し訳ないです(><) そのような感じを匂わせて書いております^^* (2020年1月8日 0時) (レス) id: 8c1c97f69f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ - 誰かがこの本書いてるんですかね?実際にあった3人のことを (2019年12月20日 23時) (レス) id: 29323fd56d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あねも | 作成日時:2019年8月10日 17時