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5瓶目 店主の独り言・陰 ページ8

……ああ、お客様、
そんなに怯えないで。
嘘といっても人を傷つける嘘では
決してございません。
これはわたくしが、わたくしの、


(あなたの心に流れ込む数々の景色、
苦しむ叫びと激しい絶望の波があなたを)





幼い男の子が無垢な瞳で大人達を見上げる。
「お前は××として生きていくんだ、いいな」
男の子は戸惑った様に、
彼には大き過ぎる服のよれた裾を握りしめた。
「で、でも僕は……」
「うるさいッ!!!」
右頬の破裂音にも似た音と共に、
彼の小さな身体は吹き飛ぶ。
やがて押し殺した泣き声が聞こえてきた。

死んだ目の青年が
部屋のベッドに寝転がり本を読んでいる。
題名は「癒術論」、かなり読み込んでいるのか、
革の表紙は擦れて汚い。
彼は本をぼーっと眺めていたが、
コンコンとドアをノックする音が聞こえた途端
枕の下に本を押し込み隠した。
「おい、時間だ」
やってきた男が彼に冷たくそう言う。
はい父様、そう答える時には既に
部屋の中は一人ぼっちだった。

「あいつの魂を殺れ」
彼の前には拘束された隣国の国王。
この男を倒せば戦争に勝つらしい。
瞼を閉じてすぅっと息を吸い込み、
自分の中の××を呼び出す。
両手に電流が流れるような感覚で、
魔力が溜まっていくのが分かった。
「さあ、あなたの瓶詰めを創りましょう」





……オキャクサマッ!!!!

わたくしの記憶に
何をしていらっしゃるのですか?
まさかココロを覗いたのですか?
わたくしの正体まで……?
……何でもありません、分からないなら
そのままでいてくださいませ。
それにしてもあなたは、
解放術師の才能があるようですね。
解放術師とは他人のココロや記憶を解放し
見る事の出来る者のことです。
……何故わたくしの解放ができたのか。
それはさておきお客様、
お茶がまだでしたね?
もうこの話はうんざりでございます、
また瓶詰めの話に戻りましょう。

6瓶目 12分の1→←店主からの伝言



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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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