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13瓶目 水 ページ21

僅かに開いた扉の隙間の向こうに
僕はその瞬間夢を見た。
その向こうに兄さんの力の
秘密があるんじゃないか、
それを手に入れればあるいは
自分は兄さんの力を奪って完全に全てを
持つようになるのではないか……と。
それは希望だった。夢だった。
僕はその夢を渇望して止まなかった。
だから僕はそのまま部屋に入りそして
"それ"に手を伸ばした___________

「馬鹿だなぁ兄さんは……ふふ」

記憶の物語をそこまで進めると
ズボンのポケットに隠していた瓶を取り出す。
たった1人の街の広場、
さっきまで僕が脚光を浴びていた
噴水前の小さなステージ。
水がバシャバシャ音を立てて流れるのに合わせ
自分の鼓動も激しくなっていく。
瓶のコルクを取って噴水の縁に近付くと、
透明な水溶液の入った瓶をそのまま
____________傾けた。
トクトクと音を立て自分の心臓が動いている。
同じ音を立て中身が減っていく。
流れてしまえばあとは簡単で、
すっかり平常に落ち着いた心臓を癒すように
胸にそっと手を当てた。
そして中身の無くなった瓶をポケットに戻すと
再び噴水の水面を覗き込む。
ゆらゆら揺れるそこには明るい月と
ほんの少しの水溶液が混ざり、
そして当然のように醜い自分が映っていた。

みなさまへ→←12瓶目 あるものないもの



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ワタクシ(プロフ) - レイさん» いつもお世話になっております……!そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いいたします! (2020年5月11日 22時) (レス) id: cfda2d1e9e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 本当に綺麗な文章で感激しています!この作品大好きです!これからも応援しています!! (2020年4月20日 13時) (レス) id: a4e5c10c36 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - 関西人さん» 長いこと留守にしていましたが、貴方様のコメントで励まされました.......!素敵な言葉をありがとうございます。もう一度書きたいと思えました。これからも応援してくださる方のために書き続けますので、何卒よろしくお願い致します! (2019年10月12日 22時) (レス) id: d168fc46ca (このIDを非表示/違反報告)
関西人(プロフ) - 凄く綺麗な小説ですね!大好きです。もっと早くに知れば良かった... (2019年9月8日 16時) (レス) id: 35e35c5ca7 (このIDを非表示/違反報告)
ワタクシ(プロフ) - つばさ、別アカ2さん» 返信遅れて申し訳ありません、お褒めの言葉ありがとうございます!諸事情で「きみの瓶詰め」の方は停止中ですが、こちらをお楽しみ頂ければ嬉しいです。 (2019年2月24日 21時) (レス) id: 91d5b5e9ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワタクシ x他1人 | 作成日時:2018年12月19日 20時

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