兄の後輩【宮治】 (ページ29)

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侑先輩は十分格好ええと思いますよ。

Aは、どちらかを選ぶような答え方ではなく、あくまで、侑に自信を持ってもらえるような答え方をした。

侑「ほ、ほんま！？おおきに！ありがとぉ！」

Aは未だに、侑は花子の事が好きだと勘違いしているようだ。

そして、そんなAの勘違いにも侑は気づいていない様子。

侑「あ、ほんで、前から思とったんやけど、なんでサムは治くんやのに、俺は侑先輩なん？」

『え？あー、それは本人に治くんって呼んで欲しいって言われたからで、、』

侑「ふーん。ほな俺も侑くんがええ。サムばっか狡いやん」

『え、そうですか？分かりました。ほなこれからは侑くんって言います』

侑「ん。おりこうさん。」

そう言うと、侑はその場から去っていった。

Aのもとを離れた侑は、早速、部室で着替えているであろう、今日は丸一日口を利いていない治の所へ向かう。

侑「サムーッ」

治「...なんや。」

侑「俺Aに格好ええって言われたでー」

侑はユニフォームに着替えようとしていた治に、上機嫌でそう言った。

治「...は？」

治は一瞬手を止めて訊き返す。

治「嘘つけ。Aがそんな...」

侑「嘘ちゃうしー！俺とサムどっちが格好ええか訊いたら俺って言ってましたぁー」

侑はドヤ顔で、そして自慢気にそう言った。

治「...チッ」

侑「うーわ、舌打ちした...っておい！どこ行くねん！」

治は素早く着替えを済ませると、侑の言葉は無視して、走って部室を出ていった。

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