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しばらく歩いて周りが静かになった頃、その人は私からジャージを取ってくれた。
『お、治先輩...?』
声の主は、昨日初めて会ったばっかりの治先輩やった。
治「おん、大丈夫か?」
『は、はい、ありがとうございます。もう、大丈夫です...!』
正直びっくりしたし、まだちょっと怖い。
でも治先輩に迷惑かけたらあかん。
治「......嘘や」
『えっ?』
治「だってまだ手、震えとるやん。」
『....ぁ、』
治先輩は、私の手をそっと握りながらそう答えた。
治「...こんなとこ連れてきてすまんな、怖かったやろ。」
『い、いえ...!治先輩のおかげで助かりました。多分あのままやと私、ビビって動けんままやったと思いますし...』
治「はは、そら良かったわ。」
私の落ち着いてきた顔を見て、安心したように微笑む治先輩。
『....あ、あの、それで、ここは、、、?』
治「あ、あぁ、ここ、バレー部の部室な。」
『な、なるほど...』
確かに、言われてみればそんな感じ
ロッカーがあって、掃除道具があって、壁にはカレンダーが貼られている。
『.......?』
治「.........」
な、なんやろ、、治先輩がめっちゃこっち見てくる
なんや恥ずかしいんやけど、、
治「...なぁ、マネージャーの話、どないなったん?」
『あっ、、、!!』
そうや、色々あって忘れかけてたけど、今日はそれを皆に言いに来たんやった。
『は、はい!昨日信介にお願いして、マネージャーやらせてもらえることになったんです!なので治先輩、これからよろしくお願いします!!』
治「おお!ほんまか!!こちらこそ、ほんまよろしゅう頼むで!!」
『はい!!』
さっきまで真剣そうな顔しとった治先輩は、私がマネージャーをやるって言うた途端、ぱぁっと顔が明るなって、嬉しそうに挨拶をしてくれた。
治「ほんなら、これからなんて呼んだらええ?」
『えっと、北さんとかですかね?』
治「それやったら北さんと被るやん。」
『あ、そっか。』
治「あっはは、Aちゃんおもろいなぁ」
『ちゃ、ちゃん付けはやめてください、ちょっと恥ずいので、、、』
治「ほんなら、A。呼び捨てでもええか?」
『は、はい!呼び捨てで大丈夫です!』
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作者名:みんと | 作成日時:2024年2月22日 23時