【男主】そして今日も僕は地獄を生きていく

夢は覚めるもの【二十八章】 ページ32

『いつまで逃げるつもりだい』

僕が問いかける。
僕は何も答えない。

「いつまで付きまとってくるんだ」
僕は問いかける。
僕が何も答えない。

やっと分かったよ、お前の正体が……
お前は僕だ、前世の僕だ。

いや、少し語弊がある。
君はきっと、救いたがりの僕の方だ。

だから救われたがりの僕を助けようとしたんだ。
だから名前も同じだったのだ。

「最悪だよ。お前が現れてから僕は僕が分からないよ。
連先生を助けたいのに離したくないし、死にたいのに死にたくないし。
めちゃくちゃだよ……」

『それは良かった、君は迷っているんだね。だからこんな空間作ったんだ。』

「はいはい、ご名答。
よく分かってるじゃないか僕。
頭にくるよ」

『うわー。暴言吐いたー！僕の心を傷つけた〜！！』

「追い出すよ？」

『すいませんでした』

と、まぁなんともシュールな自分との会話に僕も自然に笑顔になる

「まあ、出たいのは山々なんだけどさ」

正直な話、この夢から覚めたらどうしようかと悩んでいる。
飛び降りたから怪我してるし、学校で有名人とか勘弁して欲しい

『せっかく彼が迎えに来てくれたのに？誰かに取られちゃうよ？』

「やだ」

『じゃあ帰ろうね』

ニヤニヤした顔が腹立つ……

彼はまだ目を覚まさない。

「わかったわかった！帰りますよ！帰ればいいんでしょ！」

少し不安だった僕は、彼のおでこに口付ける


『ひゅー！大胆だね〜！』

「黙って！」

意識を集中させる。
さぁ、夢はここまで

『おはよう、A』

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