幼女が求婚されて困ってます！2 (ページ12)

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55.子供の本気＊ページ12

学秀「母さん、その話し方は男みたいで嫌だよって、前にも言ったよね……」

ゆっくりと顔を近付けて来た学秀は、指を離すと私の顎を指で掴み、上にクイっと上げた。

『が、学秀……？』

夫に似て、相手を支配しようとする強者の瞳。

そんな目からは目が離せなくなり、私は体が動かなかった。

学秀「悪い子には、お仕置きが必要かな……？」

夫に似て、怖いくらいの良い笑顔を向けて来る息子に、私は生唾を飲み込む。

『あ、あの、その……こ、こんな事……だ、駄目だから、離れて……ね？」

なるべく学秀を刺激しないように口調を変えて話したのだが、息子はニコニコと変わらずとても良い笑顔を向けて来る。

何か逆効果！！？

学秀「じっとして……」

『えっ、あのっ……！！』

逃げようと思って体を動かそうとするが、息子の片手が肩を掴んで居て動けない。

そのまま迫って来た息子に逃げられる事が出来ず、私は目を瞑った。

ふわっと形の良い柔らかい唇が自分の唇に当たり、私は固まる。

目を少し開けると、少ない視界の中で学秀はじっと私を見ていたのだが、どこかその眼差しが悲しくて辛そうに見えた。

それがとても印象的で、思わず目を開けた所で、浴室の扉が開いた。

ハッとして、学秀を押し除ける様に私は離れたのだった。

學峯「やっと、見つけた……」

『が、學峯……』

夫は私と学秀を交互に見て、それから直ぐに私の手首を掴むと、強い力で引かれた。

『痛っ！』

学秀「母さん、痛がってますよ。

ほんと乱暴ですね。」

學峯「君の方こそ、突然来たかと思えばここで何をしていたんだい？」

学秀「何って、お風呂に入ろうとしていたんですよ。

今住んでる所が水道工事で二、三日使えなくなってしまったので、ここのをお借りしようと思いましてね。」

學峯「わざわざ家に来なくても、近くに銭湯が有るだろ。」

学秀「あれ、有りましたっけ……」

沈黙が流れ、學峯から舌打ちが聞こえた。

それにしても手首が痛い。