5.許婚登場 ページ7
はっ!!
いや、待て……
タコの奴は今は居ないのだ。
沖矢は確か、タコの奴から話すと聞いていたのだから、そこは上手く話しを持っていけば、この事態を回避できるやもしれん。
『悪いが、その当事者であるタコは今不在だ。
いつ戻って来るかは分からん。
私は奴の事は詳しく知らぬ為、聞きたいのならまた出直せ。』
コナン「でも、Aちゃんは殺せんせーの事を知ってるんだよね?
だって、殺せんせーにとってAちゃんは、昔の同僚なんでしょ。
Fが言ってたから。」
『…………』
不味い。
そこまで知られていたとは……
どんな手も打てぬ状況だ。
これではもう、駄目だ……
そう思った私の前に、そいつは現れた。
??「Aさん、今日は出かける約束をしていたね。
準備は出来ているのかい?」
『お、お前は……!!?』
學峯と同じく長身で、學峯に似た顔。
忘れもしない、その青年は……
『が、学秀……!!?』
もう会えないと思っていた息子が、私の前に現れた。
学秀「すいません、Aさんは今日、僕と出かける約束をしているんですよ。
ですから、お引き取り願えますか?」
サッと動いた学秀は、私を背中に隠す様に立つ。
沖矢「貴方は……Aさんとはどういう関係ですか?」
眼鏡を光らせ、早速息子に問い掛ける沖矢に、学秀は強気な姿勢を示すかの様に、私の予想だにしない事を漏らした。
学秀「僕はAさんの許婚ですよ。」
『はっ?』
ドヤ顔でそう言う息子に、私は口をあんぐり開けて暫し固まった。
沖矢「い、許婚……?」
コナン「えっ、それ本当なの!!?」
江戸川から疑いの視線が私に向けられる。
いや、私に振られても。
学秀「本当ですよ。僕と彼女は将来を誓い合った仲なんですから。」
沖矢「でも変ですね……浅野さんはAさんの旦那さんだとお聞きしていたんですが……」
学秀「ああ、あの人ですか……
あれは尽く僕の邪魔をしてくるんですよ。
でも、僕こそがAさんを幸せにすると誓った許婚です。」
自信満々にそう話す息子に、私は頭が痛くなる。
これはもう、事の成り行きを見守るしかできないだろう。
下手に口出しをすると、ボロが出そうだ。
学秀「そろそろ良いですか、僕はAさんと今日出かけますので。」
そう言って息子は私を連れて屋敷の中に入ると、ドアを勢い良く閉めたのだった。
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翡翠(プロフ) - 更新大変だと思いますが身体に気をつけて頑張ってください (2020年4月17日 7時) (レス) id: 3260124100 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:壱 | 作成日時:2020年1月22日 19時