43.仮定の話し ページ46
學峯side〜
椚ヶ丘学園ー理事長室。
遅めの昼休憩を取っていた私は、スマホに送られた律さんからの盗聴データを全て再生し、確認していた。
そして最後の箇所をもう一度再生する。
“大丈夫、僕がそんな事をさせないから。
僕がずっと母さんを守るよ。
どんな存在からも、母さんを守るから。”
盗聴機のデータを聞き終わった私は、ふと考える。
息子の狙いが何なのかと。
触手を抜いたら妻は死ぬ。
だからそれが抜かれないように妻を守ると彼は言っている。
触手を抜ける存在なんて、この世には殺せんせーだけだ。
後は柳沢くらいか。
彼らから妻を守るなんてそう難しくないはず。
それに殺せんせーには事情を話して抜かない選択肢だって、伝える事が出来る筈だ。
なのに、何故そこまで必死になる？
私達の目的が達成されなくなるから？
それが、息子に対してどんな悪影響が出る？
考えれば考える程分からなくなる。
やはり、私だけでは……
こんな時に殺せんせーが居てくれたらと思ってしまう。
ふと、デスクの上に置いていたスマホに視線を向けると、画面が変わった。
律〈学秀君は本当にA先生を守る為に来たのでしょうか？〉
學峯「その考えは？」
律〈学秀君は最初、A先生に対して助ける為に来たと言っていたので……
守ると助けるは意味が違いますよね？〉
助ける、守る……
助ける……
まさか、いや……
學峯「……律さん、もし仮にだけど、死んだ人間が生き返るとするならば、それはどんな方法なのかな？」
律〈浅野理事長？〉
學峯「いや、悪魔でも仮定の話しだよ、忘れてくれ。
ごめんね、変な事を聞いて……」
ふと頭に浮かんでしまったとんでもない仮説に、私は信じられなくて消し去る為、頭を振った。
まさか私と妻が本当は生きて居て、息子は私達を助ける為にここに来たのではないかと言う考えに。
そうだ、そんなことはありえない。
私達はあの日死んだんだ。
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翡翠(プロフ) - 更新大変だと思いますが身体に気をつけて頑張ってください (2020年4月17日 7時) (
レス) id: 3260124100 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：壱 | 作成日時：2020年1月22日 19時
