7.調査の実際2 ページ12
『ん……
ここは……？』
目が覚めた私は上体を起こす。
ベッドに寝ていたってことは、ここって……
「あら、目が覚めたのね。」
あっ、保健室の先生だ。
やっぱりここは保健室だったんだ。
「理事長先生自ら貴方を運ばれて来た時にはびっくりしたけど、どうしたの？
体調悪かった？」
『えっ、あの……その……』
「理事長先生からは、急に倒れたって聞いたわよ。
しかも、屋上で。
何か悩み事でもあったのかしら？」
私はそれに対して口を閉じ、俯く素ぶりを見せる。
あの人……人の使い方がうまいな。
きっと、保健室の先生は、私が理事長先生に言った内容を知らないのだろう。
だから、悩み事の理由を聞いたのだ。
まあ、もし事前に聞かされていたとしても、それをあえて聞くようなことはしないはず。
私は理事長先生にしか、悩みを伝えていないのだから。
そして、再度保健室の先生に悩みについてを質問させることによって、私の発した内容に偽りはないか。
また嘘でなかったとすれば、あえて人や、場所を変えて心理的効果をもたらし、私に悩みを話させる戦法なのだろう。
なにせ、保健室にも、監視カメラは用意されている。
そこで、私の悩みを知ることができるからだ。
だが、あえてその誘いには乗らない。
ここは黙秘権を主張する！
「話しにくいことかしら。
無理には聞かないけれど、話せるようになったら、話してね。
ここは、そういう場所でもあるから。」
『ありがとうございます……』
一先ず、今日はこのくらいか。
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作者名：壱 | 作成日時：2019年6月21日 23時
