幼女ですが既に人妻です！

20.妻と夫はどっちが強い？ ページ33

沖矢side〜



浅野さんの腕の中で眠っていたAさんが目を覚ました。


寝起きの彼女の顔が可愛く見えて、緊迫した状況の中でも、その時だけは場が和んだような気がした。


だが、その雰囲気は次の一言で一気に崩れる。





『トイレ！』



このタイミングで！！？



俺達全員がその時は固まった。






學峯「A、今犯人側にこのフロアで大人しくしているように言われているんだよ。

トイレは我慢しなさい。」



浅野さんに言われた彼女は頬を膨らませる。



怒っているのだろうが、そんな表情も可愛い……いや、今は平常心だ。





『馬鹿者！

女子にトイレを我慢させるなど、紳士の風上にも置けぬわ！！』




吠えた幼妻の気迫は、あの母親を連想させる。


思わずあの母親本人に怒られた気持ちになった。


どうかしてるな、俺……



というか、Aさんは浅野さんにもこの口調なのか。



とりあえず、幼妻を制しさせようと説得している浅野さんに助け船をと思い、声を掛けた。



沖矢「こうなったら犯人さんにお願いして、トイレに連れて行ってもらうしかないでしょうね。」




コナン「でも、素直に聞いてくれる犯人だと良いけど……」



確かに坊やの言う通りだ。


普段の自分ならそこまで考えられているはずなのに、くっ……彼女が絡むと冷静な判断が出来な口調なるのか←



『いや、その案で行くぞ。』



沖矢「えっ？」



マジですか！！？←




Aさんは、浅野さんの膝の上から降りると歩き出す。




學峯「待ちなさい。」




浅野さんが止めるが。




『触るな！

私はトイレに行くのだ！！』




頑固だ……


益々あの母親に似ている……そんな気さえしてしまう。





そして彼女は、そのままスタスタと歩いて行ってしまったのである。




學峯「はあ……困ったお嬢様だ。」




項垂れている浅野さんが可愛そうに思えて来てしまう。




夫婦の仲は、幼妻の方が強いのだろうか。





浅野さんより強いとは……



恐ろしい妻だ。

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