膨れ上がる憎しみ【シャーロットside】 ページ7
鉄道基地の中での攻防劇。
爆風はおさまったが、変わらず火の勢いは止まらない。
燃え盛る炎の合間から、その奥は鉄材や瓦礫が積み上がっている様子が伺えた。
「A……!」
まさかあの下敷きに……最悪な考えが浮かんでしまうなんて。
そうでないと祈りたい。
「シャーロットさん。」
突然声を掛けられて、私は振り向く。
「沖矢昴……!」
そこには服が所々煤けて居る奴がいた。
いや待って、何で沖矢昴だけここに……
確か、こいつはAを追って火の中に行ったんじゃなかったっけ?
それなのに、私の前にいるのは沖矢昴だけだった。
まさか!
私は素早く動くと、沖矢の腹部に拳を叩き込んだ。
本来彼程の男なら、私の拳を交わせるだろう。
こいつの正体は鳴海清隆から聞いて知っている。
現役のFBI捜査官だと言うが、だが奴はそれを交わしもせずまともにくらい地に倒れた。
「何で….…お前だけっ!」
自分でも分かる程、低い声を出して沖矢を睨んでいた。
それくらいこの男が憎かった。
「すいません……」
沖矢昴は罪悪感からなのか、私から顔を逸らして俯く。
益々イラつく。
「何とか言ったらどうなの!!!」
「Aさんはまさかあの瓦礫の下敷きになってるんですか?」
丁度そこへ、公安の犬が話しに割って入って来る。
私は公安の犬に沖矢昴を見張ってる様に伝えると、二階の作業台から見下ろしている神坂を睨む。
「最高傑作はどうやら終わった様だな。
所詮、人間が作るものに絶対はないということだ。」
私は歯ぎしりをして、怒りを露わにする。
だからそれ以上口にするな….…
こいつらの前でそうペラペラと、Aのことを喋るなよ、狸が….…
私は神坂を睨んだ。
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作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時