神のお悩み相談 ページ49
ここは、ミズシロ・ヤイバが自身の双子の弟を守る為に築き上げた城。
その中のある一室を神である清隆は訪れた。
部屋の中の壁にはAの写真が貼られており、ソファに座る部屋の主はクッションを抱き潰し、怒りを露わにしていた。
「あいつ何者や!
Aの彼氏言うて、俺からAを奪って行ったん!!
きーよーたーかーっ!!」
彼はミズシロ・ヤイバの双子の弟、ヒズミだ。
年はヤイバよりもかなり離れているが、紛れもないヤイバの双子の弟である。
「はいはい。
彼は沖矢昴君。
Aのお気に入りの子でね。私が認めたもう一人の神と似て非なる者と行動を共にする者だよ。」
清隆は以前シャーロットに隠し撮りをお願いしていた写真を渡す。
そこには、勇者のコスチュームに身を包んだ沖矢が写っていた。
「なぁ清隆、こいつ殺していい?」
さらりと殺す発言をするヒズミの目は、悪魔の瞳だった。
神以外がその目を見れば、誰もがその目に恐怖するくらいに鋭さと冷徹さがある。
清隆はヒズミを見ても何も動じず、口を開いた。
「昴君を殺したら、二度とAは君を見てはくれないだろうね。」
「はぁ……じゃあどないしたらええ?」
「昴君を退かしたいなら、彼の知り合いにでも味方に付けたらどうだい?
手助けをしてくれるよ。」
「ほんまかっ!!?」
さっきまでの悪魔の瞳は何処へやら、目をキラキラと輝かせて子供の様にヒズミはしゃぐ。
因みに年はAの一つ下で、16歳だ。
本来なら高校一年生ではあるが、彼は学校には通っていない。
話は元に戻り清隆はヒズミに安室透の写真を渡した。
それを手に取りじっと眺めて、ヒズミは嬉しそうに笑っている。
「この兄ちゃん、俺の力になってくれるんか!?」
「昴君の名前を出せばね。
きっと力になってくれるよ。」
神はイタズラな笑みを浮かべている。
きっと沖矢と安室の関係を知っている者がこの光景見れば、神の意地悪さが分かるだろう。
「やったやった!!
これでAは俺を見てくれる!!」
はしゃぐヒズミを前にして、神は口角を上げた。
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作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時