手解き ページ37
ジンとバーボンの睨み合いがやっと終わり、準備の出来たベルモットとバーボン、そして私はホテルの駐車場に来ていた。
「え、これに乗るの?」
「そう、リムジン貸し切ったわ♡」
そんな満面の笑顔で言わなくても。
これ、いくらするんだろう……
しかも、運転手付きだ。
中も広いしソファがあってテーブルやワインセラーもある。
やっぱり大女優は違うなぁ。
______________________________________
車に乗り始めて数十分後〜
「いい、ビジュー。
もう一回言ってみて?」
「えっと……
わ、私……ココにハジメテ来たかららワカラナ〜イ……」
なんで、私…こんなことをしているんだろう…何か泣けてくる。
対席に座るバーボンに助けを求めるも、彼は笑いを堪えるのに必死な顔をしている。
こいつ……
後で覚えてろよ!
「何で、カタコトの日本語を話すみたいになってるの?
もうちょっとナチュラルに言ってみて。
はい次。」
「私……は、初めてみ、みっ、見たときに、と、ときめいてまちたっ……」
はずっ……こんなの無理だ。
バーボンを見れば、お腹を抱えて笑っている。
くそっ、こいつ……
「もう、大事な所で噛まないの。
はい次。」
「私のこと……好き…にして、くださ、い……」
こんなこと、絶対言いたくない。
「うん、ちょっとぎこちないけど、まあまあの出来かしら。
後は初々しさを出して、相手に絡んでいけば良いわ。
後、もう少しチークを濃くしましょう。
その方が可愛げがあるし。」
そう言ってすかさず、私のメイク直しに入るベルモット。
さ、流石ハニトラの女王!
「あっ、唇ももう少し色艶の濃い物にしてあげる。」
「ベルモット、本当にビジューにさせるんですか?」
今まで散々笑っていたバーボンは、やっと落ち着いたのか、会話に入って来る。
「ええ、もちろんビジューに任せるつもりよ。
私の見立てに間違いはないわ。」
自信ありげにベルモットは言うけど、何か心配になって来た。
ハニトラとか…無理だ。
この間のバーボンみたいに迫られたら、多分終わる。
あの時は完全に私の敗北だったし。
忌まわしき葬り去りたい記憶が蘇る。
「ね、ねぇベルモット……私、多分ハニトラ向いてないと思うけど……」
「あら、そんなことないわよ〜
貴方には充分その能力があるわ。」
ウインク付きで言われても……
自信ないなぁ。
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時