板挟み ページ36
「おせぇ、いつまで待たせて……」
目を見開くジンは口からぽろっとタバコを落とす。
あれ、そんなに驚く?
「変かな……
今度は黒だよ。
後、髪も巻いてもらった。」
無言のジンは私の元まで歩いて来ると、目の前に立つ。
そしてじっくりと頭の上から足先まで私を見たジンは、緩く巻かれた私の髪に指を通した。
「悪くはねぇな……」
髪から手を離し、その手が私の顎を掴む。
ぐいっと上に向かせられると、冷たい深緑と目が合った。
「ベルモット、こいつは…中々の出来じゃねぇか。」
「私の腕が良い所為かしら。」
ちょっと二人して私を無視しないで!!
てか、この体勢きつっ……
強制的に上向かせられている私の身にもなって……!!?
近付く銀色、視界いっぱいに広がるタバコの匂いとジンの顔に目を見開いた。
なっ……!!?
「あっ、すいません。
遅れまし、た……!!?」
ゴトッ!!
咄嗟にジンから離れて振り向くと、私を凝視しているバーボンが居たのだった。
______________________________________
「ちょっと、ジン!!
なにしてんのっ!!」
ビシッとジンを指差して、私は吠えに吠えた。
「ただの虫除けだ。」
「だからってきっ…キスしなくても良いじゃんっ!!」
「減るもんじゃねぇだろ。」
「そう言う問題じゃない!!」
「ジン、ビジューとはどういう関係ですか……?」
落とした飲み物を拾い、怖い笑顔を向けて来る、バーボン。
彼は額に青筋が浮かんでいる。
これ、ヤバイ状況なんじゃ……
助けを求めようとベルモットを見たら、いつの間にか誰かと電話していた。
あの〜車がどうとか言ってますけど……ベルモットさ〜ん、何を頼んでるんですか〜?
「うるせぇなぁ、一々….…」
「きゃあっ!」
いきなりジンの腕に抱かれて、前のめりになった私はそのまま彼に寄りかかった。
それを見てますます、バーボンの額の青筋が増える。
しかも、ペットボトルが握り潰されてます。
このまま行くと破裂するじゃないかくらい、ぎゅうぎゅうに握られていた。
ミシミシと音も鳴ってるし……
握力強っ。
「ジン……彼女を離して下さい。」
「まだ時間があるだろ……」
その後もジンとバーボンによる睨み合いが続き私は彼らの間に挟まれて、身動きが取れず嘆くしか無かった。
はぁ、帰りたい……
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時