来訪者 ページ31
昴さんが出て行ってから少しして、部屋に来訪者が現れた。
なんともタイミングの良すぎる男に、苦笑いが漏れる。
本当に嫌な奴……
まあ、彼には先の神坂との抗争で助けられたし、会ってやるかと考えて訪問者を室内に迎え入れた。
「バーボン……」
「そろそろ、彼女が痺れを切らす頃なんですが……」
苦笑いを浮かべて、彼は携帯画面を私に見せる。
“あの子を探して連れて来て頂戴”
そう書かれた一文と、ベルモットの名。
そう言えば、色々片付いたら連絡するんだったっけ？
「ベルモットのお願いですから、一緒に来て頂けませんか？」
「珍しく、色々探らないのね。」
「僕に色々と探って欲しいんですか？」
視線が絡み、睨み合う。
だが、最初に折れたのは私だった。
「まあいいわ。
私をベルモットの所に連れて行きたいんでしょ。
なら、そうしてくれる？」
バーボンはきょとんとして、私を見やる。
「何？」
「いや、その……ビジューが変に素直なので、頭でも打ったのかなと。」
「はっ？」
「冗談です。」
彼は微笑み、私を見つめると手を伸ばす。
その手が頭に触れると、優しく撫でられた。
「良かったです、無事で……
貴方のことを心配してましたから。」
「何か、おかんみたい。」
「それはどうも……」
途端に機嫌が悪くなったようで、ムスッとした表情で、バーボンは私を見るのだった。
年上って、扱いが難しいなぁ。
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作者名：壱 | 作成日時：2019年1月23日 21時
