希望の光【沖矢side】 ページ18
Aの部屋を退出してから、叩かれた手を見る。
彼女は俺に目を合わせてはくれなかった。
震えていた体と、流れ落ちた涙。
今までとの様子の違いに不安になる。
何があったのかと。
まるで、何かに怯えているかの様に見えた。
「Aはね、壊れやすいんだよ。」
気配を感じて、俺は声の主に顔を向ける。
そこには鳴海清隆が立っていた。
「壊れやすいとは、どういうことですか?」
俺がこの施設に居てもいい許可を出してくれたこの男は、俺の目をじっと見ていた。
因みに安室君は、運悪く仕事とが重なってことと、鳴海清隆自身が、「恋戦争の結果は、昴君の勝利だから、安室君は駄目だよ。」と言っていた気がする。
鳴海清隆とはよく分からない人間だ。
余談はさて置き。
「昴君、君はAを救いたいんだったよね?」
「はい。」
「もし君が、Aが追い求める希望の光になり得るのなら、私は君に話したいことがあるんだが……」
「その話したいこととは?
それに希望の光というのは、何ですか?」
「それはね、Aにとっての神様だよ。
彼女が追い求める神様とは、自分を殺してくれる人なのさ。」
「なっ……!?」
自分を殺す人だと……
Aはそれを望んでいるのか……
「僕が、そんな人になるわけ……」
「だろうね、普通はそういう反応だろうから。
だがそうなると、君は用済みになってしまう。」
用済み
その言葉が酷く心に突き刺さる。
もしそう判断されたら、俺はここから追い出されるのか?
そうなれば、Aの側にはいられないんじゃないか。
「君にはそう言ったが、私としてもAの願いを叶えたいとは思う反面、彼女には思い止まって欲しいとも思っているんだよ。
だから、君には希望の光になって欲しい。
命を繋ぐ希望の光にね。」
「命を繋ぐ……」
「君ならきっと、希望の光になってくれると私は思っているよ。」
Aが死を望むのだとしても、俺は誓った。
覚悟を決めて、彼女を守ると。
「なってみせます、僕がその希望の光に。」
鳴海清隆は頷く。
「では、君は本当の意味でAを守る覚悟出来ているのかな?」
「はい。」
「そうか。
それなら君に、Aの秘密を話してあげよう。」
その後俺は鳴海清隆から、Aの秘密を知ることになった。
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作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時