悪魔と私 ページ15
だからと言って、いつまでも悪魔の所有物としているなんてごめんだ。
「死んだ人の者なんて、願い下げよ。」
そう伝えれば、ヤイバは喉を鳴らせて笑う。
「それでもお前は、俺のものだ。
そう体に教え込んだはずだ。」
ヤイバの手が、私の頬を撫でる。
その刺激にびくりと体が震える。
「だが……どうやら今は違うようだな。」
「えっ?
違うって、どういう……」
「分からないのか?
分からなければ、きっとお前がこっちに来るのも早いだろうな……」
悪魔は何を言いたいのだろう。
私に何を伝えたいのだろう。
「あるいは……あいつがお前を手に入れるかもしれないな。」
悪魔の囁き声に、私は彼を思い出す。
この男と瓜二つの容姿をした人物。
「見物出来ないのが、残念だ。
まぁ精々、足掻くことだ。
どの道お前の存在価値が変わることはない。」
「私は……違う……」
そんなんじゃ……ない。
違うのに……
悪魔は私を見て嘲笑う。
反論したいのに何故が力が入らなくて、私の意識は薄れていった。
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作者名:壱 | 作成日時:2019年1月23日 21時