捜索【沖矢side】 ページ13
地にぐったりとして横たわるAの姿があった。
「Aさん！」
思わず彼女の名を呼んで駆け寄る。
弱々しく息をしている彼女の姿は痛々しかった。
俺を守って、こんなボロボロに……
彼女の体を慎重に動かして、仰向けにすする。
そこへ鳴海清隆がやって来た。
俺の隣に腰を下ろした彼は、Aを見てそれからすぐさまどこかへ連絡し始めた。
数秒でそれは終わり、彼は立ち上がる。
「救護班がどうやら来てくれるみたいだから、それまで待機かな。」
「救護班って、どうやってここまで来てくれるんですか？
そもそもその救護班は……」
俺の質問に、彼は首を振る。
「それは企業秘密だよ、昴君。」
「もしかして、セイバーと呼ばれる方達ですか？」
食い下がらずに口を開いたのは安室君だった。
確かにその情報は俺も知りたいと思い、二人の会話を聞くことにした。
「そうか、君達は知っていたね。
安室君の言う通り、
「なるほど。
では、最高傑作とは何ですか？
さっきの神坂さんが言っていた言葉が気になっていたのですが。」
その言葉の直後、暗闇に動く真っ黒な影が、安室君に近付いた。
素早い動きに、俺はその目で捕らえきれなかった。
気付いた時には安室君の首筋に、ナイフを当てるシャーロットの姿があった。
「駄目だよ、シャーロット。
彼は殺してはいけない。」
「貴方がちゃんと対処しないから、こんなことになってるのよ。
この男は色々知り過ぎたから殺すわ。」
「僕を…殺すんですか……」
身動きの取れない彼だが、今助けようと動けばそれこそ一突きで終わる。
「シャーロット、命令だよ。
安室君は殺すな。」
舌打ちをした彼女は、安室君から離れる。
そして俺とは反対側のAの近くで座った。
「安室君、悪いがそれは秘密なんだ。
君にだって、知られたくないことの一つや二つはあるだろう。」
秘密
Aに隠された秘密というのは、竹内理緒が言っていたものか。
“Aちゃんの場合は、次元が違う程、暗黒の闇に足を突っ込む様な物です”
暗黒の闇か……
Aを取り巻く闇は、根深いのかもしれない。
そこから彼女を救うには、闇を取り払わなければいけないということか。
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作者名：壱 | 作成日時：2019年1月23日 21時
