Storyー悪魔 ページ7
「ただ、ミズシロ・ヤイバもね、最初から悪魔じゃなかったんだよ。」
「それはどう言うことですか?」
「僕も気になる。」
興味を示す様に聞いて来た彼らに頷くと、私はまた続きの話しを始めたのだった。
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最初からヤイバは悪魔ではなかった。
ミズシロ・ヤイバも10代の歳では慈悲深き神の様であり、良き支配者の瞳を持ち、自らも人間を良き未来に導く者と、
心の底から思っていたそうだ。
ヤイバは二十歳の時、
その時自分が、何故これ程の力を持って生まれたのか、何をすべきなのかを知ったそうだ。
ただそれだけで、それまでのヤイバでなくなった。
それと同時に、ブレードチルドレンも成人した時に、同じく覚醒するとヤイバは言った
それまで子ども達は人間の中でその才能を伸ばし、ちょっとしたカリスマとして成長する
或いは、非常に有能な人間として認識され、重用される
生まれた時から、人間に対し敵対的であれば早い内に社会から、弾き出される。
だから最初は天使の様に人間の中に立ち、上手く本性を隠せる分別と社会性を得た時に
ようやく悪魔の血は覚醒する
そう、トロイの木馬の様に。
それが、造物主が施した細工だった。
潜伏期間の長い病原体程、深刻な被害をもたらす。
癌でも自覚症状が遅いと、激しく転位して手の施しようがなくなる
ヤイバも幼い時から悪魔的であったなら、早い内に社会から弾くことができた。
権力も簡単には手に入らなかったかもしれない
しかし二十歳以降のヤイバは天使であり、神だった
それが突然悪魔に変わっても、社会性を身につけたヤイバはそれを隠し、周囲の信頼を表向きは、裏切ることはなかった。
だが後で調べて見れば、二十歳以降のヤイバは、影で相当の人間を死に追いやったていた。
そして私達ブレードチルドレンは今はまだ安全な存在だ。
一応は。
だが、年齢は絶対的ではない。
少数だが外的要因で、既にスイッチが入ってしまった者もいるという報告も上がっている。
社会能力も持たず、未熟なブレードチルドレンが、“人間を駆逐すべし”というスイッチが入って何をし、どんな末路を辿ったのか。
答えは簡単だ。
見境なく人を殺す悪魔と成り果てる。
それはとても酷いものだった。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年6月16日 14時