小話 ページ35
夜の郊外にそびえ立つエクセレントホテル。
脱出に成功した私達の背後に立つエクセレントホテルは、次々と上の階から爆発していった。
そして爆発による煙が、空に舞い上がっている。
これだけ大きな爆発事件であっても、きっと公には工事中の事故か何かで機械の誤作動とか、適当に処理をするのだろう。
警察内部にいる、
「A、とりあえず
俺と亮子で莉緒を病院に送るぜ。」
未だ香介の背におんぶされ中の理緒を見て私は頷いた。
「頼んだよ香介。
亮子もね。」
「理緒のことは任しときな。」
亮子にもお願いと伝え、私は理緒に顔を向ける。
「Aちゃん、また会えるよね。」
心配そうな表情をして、私を見ている瞳。
私は理緒の頭を撫でる。
「うん、会いに行くから。」
そうして三人が行ったのを確認し、私は鳴海弟の方に向く。
「送ってくわ。」
「いや、俺は大丈夫だ。
こいつも俺が送ってくし。」
「こいつ呼ばわりなんて….…
鳴海さんひどいじゃないですかっ！！」
何か、夫婦漫才？
「一先ず、ここから私達も離れよう。」
「ああ。」
「はい。」
私達は歩き出した。
「なあ、あんた……兄貴の居場所を知ってるのか？」
その一言に、私は足を止めた。
「清隆の居場所なら、知らないの。」
黙ってこちらを伺う鳴海弟。
彼は私を疑っているようだ。
「本当に知らないの。」
「じゃあ、ブレードチルドレンについて教えてくれないか？」
それに対して、私は首を振る。
「まだ、君は知る時じゃない。
いずれ分かる。
時が来たら、知ることができるよ。」
そう伝えれば、鳴海弟は納得していない様子だった。
仕方ないか。
今までも、そして今日も、ブレードチルドレン関連の事件に巻き込まれているのだ。
知りたいと思うのは、当然の話しだろう。
「 今日は、色々あったし、大人しく帰った方がいいんじゃない……！！」
私はハッとして、息を飲む。
殺気……
こちらに近付いて来る気配を感じ取る。
数は、2……いや、3、4だ……
「早く、帰りな。
どうやら、私に客人みたいだから。」
「客人？」
「ひよのちゃんを連れて、早く！！」
私はまっすぐ先を指差す。
「早く急ぎなさい！！」
只事じゃないと分かったのか、鳴海弟はひよのを連れて走り出したのだった。
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作者名：壱 | 作成日時：2018年6月16日 14時
