Gameー抗争と奪還5 ページ29
香介は廊下のすぐ手前にまで行くと、そこでしゃがみ、ワイヤーでできた金網を観察し始める。
「この格子……大きさは15センチ四方。
高さは20センチってところか……」
私も彼の隣に移動すると、しゃがむ。
「これは、つま先立ちでもちょっと歩けないね。」
私は後ろを振り返ると、亮子と鳴海弟に視線を向ける。」
「どうする?
この状況をクリアするのは、至難の技だけど……」
そう聞けば、鳴海弟はスタスタと歩いて、壁に立てかけられていた、鉄筋やら鉄角パイプを地面に倒す。
ガタッ、ガタン!!
彼は何かを思い付いたのかしら。
私は鳴海弟の元へ向かう。
「何か、手伝えることはある?」
そう聞けば、鳴海弟は頷いて、私に鉄角パイプを2本、渡したのだった。
「ちょっと、持っててくれ。」
「うん、分かった。」
さらに彼は近くに置いてあったロープを見つけると、輪になって束になっていたロープを肩に掛けた。
そうして、鳴海弟は亮子達に視線を向ける。
「あんたらも、ちょっと手伝ってくれないか?」
「ああ、いいよ!」
亮子はすぐさま駆け寄ってくれたが、香介はと言うと……
「おい、ちょっと待てよ!
何で俺達があいつの手伝いをしなきゃなんねーんだよ。」
どうやら、手伝う気はないらしい。
まあ、気持ちは分からなくもないけど……
香介は、鳴海弟のことをまだ完全に信用してはいないみたいだった。
私は、今日初めて彼と話したけれど、まだ鳴海弟がどれ程の力があるかはわかってはいないから、私だって信用しているわけじゃない。
でも、今はそんな議論をしてる時じゃないんだ。
「香介、今は理緒達を救うことだけを考えよう。
文句はそれからでもいいじゃない。」
「Aが言うなら仕方ねぇけどなぁ……
何の説明もないのに、言うことなんか聞けるかっつうの……」
不貞腐れてそっぽを向いた香介は放っておき、私と亮子は鳴海弟の工作を手伝うことにしたのだった。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年6月16日 14時