Gameー抗争と奪還4 ページ28
「ということは少なくとも
香介は顎に手を当てて考えている。
そんな彼は顔を上げると、私と目が合った。
「どうする、A？
見張られてちゃ動きにくくて仕方ねぇし、
先に奴らを潰しに行くか……？」
私はそれに対して首を振る。
確かに香介の提案は良い案かもしれない。
こちらの動きは今、カメラで筒抜けの状態だ。
私達が動きにくいのは分かる。
けれど、それは得策じゃない。
「やめておいた方がいいよ、香介。
何せ、手厚いトラップの数々を見ても分かる通り、奴らは戦闘のプロ。
そう簡単に倒せる可能性は低いと考えた方がいいんじゃない？
労力と時間の無駄になっちゃうし。」
「ああ、あんたのいう通りだな。
素直に潰されてくれる奴とは思えない。
時間の無駄だ。」
鳴海弟も私の意見に賛成の様だった。
「けど、俺達の居場所がバレバレなら、トラップに近付いた途端、ドカンと爆発させられておしまいだぞ。」
確かにそれも考えられる。
「それはない。
さっきみたいに有線なら別だがな。」
鳴海弟は私達に携帯画面を見せる。
なるほど、そういうことか……！
画面には“圏外”とあった。
「多分、あんた達の持ってきたトランシーバも使えない筈だ。」
亮子はすぐさま背負っていたリュックを下ろしてしゃがむと、リュックの中からトランシーバを出す。
私も彼女の近くに腰を下ろすと二人で確認した。
「ほんとだ……Aのも使えないね。」
「うん、電波妨害だと無線はお陀仏だしね。」
「ああ、念のいった話だ
だが、これじゃあ向こうも無線は使えない。」
確かに。
このエリア一帯に、電波妨害を出しているのであれば、お互いに不利になってしまう。
「とりあえず、電話機の側には近づかない様にしとくか……」
苦笑いを浮かべた香介に、私も頷く。
「優先なら、爆発できるしね。」
「それはいいけど、この先どうする？
ちょっとでもワイヤーに触れたら対人地雷がドカン。
ミンチになっちゃうよ。」
亮子の言う通りだ。
一先ず私達はこのホテルの最上階を目指さなければならない。
最上階には、囚われの理緒と、鳴海弟の付き人で、嬢ちゃんこと、ひよのという女の子が一緒にいる。
彼女達の元に行くには、このトラップが仕掛けられた廊下を進むしかないのだから。
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作者名：壱 | 作成日時：2018年6月16日 14時
