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Shout ページ24
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私達はいつだって気が置けなかった。
油断すれば、命がいくつあっても足りない。
私達の日常は、常に戦場だった。
全てはあの男の所為で……
一度だけだった。
あの男に会ったのは、私が六歳の時だった。
両親を亡くし、毎日毎日を死に物狂いで生きていた時に、あの男は突然現れた。
“A……
お前は私の最高傑作だ”
そう悪魔の囁きで、私に近付いて来た男の顔は今でも忘れない。
若葉色の髪に黄色い瞳を怪しく光らせて、私を……
悪魔は私を見て、口の端を釣り上げて笑う。
“嗚呼______よく似ている。
その目も、鼻も唇も、全てが彼女によく似ている”
と。
だが、あの男はあっけなく、私の前で死んだ。
涙なんてでなかった。
悲しいとも思わなかった。
ただ、あの男は私を見て力尽きるその時まで、あの男は私に手を伸ばそうとしていたのを覚えている。
そうして力尽きた手は、床に落ちた。
私にあの男の手が届くことはなかった。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年6月16日 14時