近付く悪魔【降谷side】2 ページ22
「知りたいでしょう。
“捜査”の為には必要ですよね、彼女の存在が……」
まるで、俺の存在に気付いているかの様な口振りで、彼は笑顔で聞いて来る。
何なんだ、この青年は……
「ああ、自己紹介をしてませんでしたね。
僕は、カノン・ヒルベルトです。
気安く名前で呼んで下さい！
お兄さんは、“どっち”で呼べばいいですか？」
冷たい嫌な汗が頬を伝う。
どっちで呼べばいいなんて……
やはりこの青年は知っているのだ、俺のことを。
「安室透と呼んで下さい……」
「分かりましたニャン！」
どこからか取り出したのか、猫のぬいぐるみを出した彼は、俺の顔に猫を近づける。
「かわいいですよね〜
お部屋に沢山飾ろうって思ってるんですよ！」
猫のぬいぐるみを可愛がる彼は、本当に猫が好きな様だった。
「じゃあ、車をお願いしてもいいですか？」
「ああ、分かったよ……」
助手席を勧め、俺も車に乗り込む。
「ああ、そうだ。
安室さんのこと、黙っておくかわりに、ブレードチルドレンの秘密を話しましょうか？」
「何！？」
「知りたいでしょ、ブレチルのことを。
ただし、安室さんが潜入している組織に、ブレチルのことはバラさないで下さいね。
それを守って頂けない場合は、安室さんのことをその組織に流しますから。
これは交換条件ってことで。」
俺は考える。
ベルモットからブレードチルドレンのことを探るように言われていたが、その任務はまだ達成できてはいない。
彼女から最速の連絡はないものの、そろそろ報告は必要となるわけなのだが……
「ああ、別に知りたくなければ、いいんですよ。
話しませんから。」
いや、ここは……
「交換条件を呑みますよ。
ブレードチルドレンのことを教えて頂けませんか？」
「ええ、いいですよ。
では、案内をしながら話しますね。」
彼はそういうと、悪魔と神の物語について語り始めたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：壱 | 作成日時：2018年6月16日 14時
