近付く悪魔【降谷side】1 ページ21
風見から連絡が入った俺は朱鞠駅に来ていた。
どうやら張り込み中だった、神坂警視正に動きがあったようで、その連絡を受けたのだった。
警視正はこの朱鞠駅で、一度車を止めてどこかへ連絡すると、また車を走らせたようだった。
今は風見からの連絡待ち。
そうして待つこと数分
メールが入り、俺は内容を確認する。
どうやら、追ってに気付かれたとあり環状線を走っていたが、小道にそれて撒かれた旨が書かれていた。
あいつ……
帰ったら説教だな。
一先ず風見には、追跡は中断して、戻るように伝える。
さて、どうするか……
コンコンコン
不意に助手席側の窓をノックされて、俺は驚く。
ノックをした人物は、茶髪で前髪を真ん中で分けている、若い青年だった。
緑の瞳を俺に向け、俺を見ていた。
急いで、車から出ると、歩道に出る。
「すいません、人を探してるんですが……」
青年は、申し訳なさそうに、声を掛けて来たので、俺は頷くと聞き返した。
「人探しですか?」
「そうなんです。
ここで車を止めてた方なら、見ていないかなと思って……」
他にも車は路駐しているし、タクシー乗り場は近くにあるが、あえて俺に声を掛けて来たのには、何か理由があるのだろうか?
「どんな人を探してるんですか?」
そう聞けば、青年はニコニコ笑う。
「高梨Aという女の子を。」
俺はその名を聞いて、青年を凝視した。
「その反応は……お兄さんは知ってるって感じですね。
彼女の居場所は、どこですか?」
高梨Aに関連のある青年。
まさか彼も……
「君も、ブレードチルドレンなのかい?」
「そうですよ、ブレチルの一人です。
ブレチルって、言いやすくて響きがいいですよね〜。」
ニコニコ笑い楽しそうに話す青年は、どことなく幼くも感じる。
だがそんなのは一瞬のことで、青年の瞳は冷たく鋭い瞳にへと変わる。
「それで、話しは戻りますが、Aの居場所を知ってますか?」
その表情に一瞬気圧されるも、平静を装い答える。
「いいえ、知らないんです。
僕も実は探していているんですがね。」
「そうですよね!」
先程の冷たい瞳は何処へやら。
彼はまたニコニコ笑う。
「じゃあ、案内しますよ!」
「はっ?」
この青年は探してるって言ってなかったか?
警戒を強めながら、青年を視界から逃さないよう、俺は注意した。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年6月16日 14時