宣告1 ページ7
「目的地が分かりましたから。」
「えっ!?」
分かったの?
彼の横顔はどこか険しい。
それに、歩くスピードも速い。
バーボンは背が高い為、歩幅が大きく、彼のスピードに合わせて早歩きをするのは、正直辛い。
これなら、逆に走った方が楽だ。
だが、私はまだ目的地の場所が分かってない。
場所が分かれば、バーボンを振り切って、行動出来るのに。
ルイ14世に関連するものなんて、この公園の中にあったかな。
そういえば園内の地図には確か……紅葉橋があって、イチョウの木があって……季節の花を植えている花壇に、それに、レストランやお土産屋さんもあった。
噴水もあったし、もちろんトイレもあった。
それから……
あっ、そうだった。
大きなバラ園があった。
はっ!
バラ園!!
私は繋いでいた手を振りほどくため、思いっきり、自分の手を動かした。
手が離れた私は、驚いているバーボンの隙をついて走り出した。
速くバラ園に行かなきゃ!
黒薔薇の種類に、ルイ14世というものがある。
ルイ14世は、黄色いおしべと濃い花色を彩り、美しいコントラストを描き、強い芳香があるのが特徴の花だ。
だからこの太陽王が眠る地とは、黒薔薇がある場所。
つまり、薔薇園。
そして黒薔薇の花言葉には、
「死ぬまで貴方を憎む」
「憎悪」
などがある。
要するに、私を殺したいほど憎んでいるのだろう。
私はこの手で、
その恨みを晴らす為でもあると考えられる。
やっと場所が分った。
これなら、バーボンを巻き込まなくてすむ。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年5月11日 20時