太陽王4 ページ5
不意に立ち止まった彼と、目が合った。
「僕の顔に何か付いてますか?」
「別に。」
そう言ってそっぽを向けば、彼は私の頭を撫でる。
「えっ!?」
驚いてバーボンを見上げると、彼は自分の顔を私に近づけた。
私は咄嗟に顔を逸らす。
彼は私の耳元に自分の顔を持って行くと、口を開いた。
「太陽王とは、ルイ14世のことだと思いますよ。」
耳元で囁かれた低音ボイスに、私は体を震わせる。
耳は弱いのに……
でも、今ルイ14世って言ったよね。
私はバーボンに顔を向けた。
「ルイ14世を知ってますか?」
そう聞かれて、私は記憶を思い起こす。
確かカノンが住んでいた屋敷に、大量に本があった。
まるで書庫の様に、壁一体を覆い尽くす本棚がそびえ立っていたのを覚えている。
そして私はそこで見たんだ。
フランス王政について書かれたものを。
「確か、フランス王政の……」
「そうです。
ルイ14世は、ブルボン朝第3代のフランス王国国王です。
ルイ13世の子であり、彼の母ははスペイン国王であるフェリペ4世の娘で、マリー・テレーズ・ドートリッシュですね。
ルイ14世は、王朝の最盛期を築いたと言われています。
そしてこの太陽王とは、ルイ14世の
まあこの呼び名は後世になって付けられた渾名のようなものなんですがね。
それには色々と逸話がありますが……」
一旦話しを区切り、彼はそれでと続けて口を開く。
「ルイ14世はメヌエットを最初に踊った人と言われているんですよ。
メヌエットとは、ムニュエ menuetとも言われ、3拍子のフランス舞踊。
または、その舞曲のことを言うんです。
メヌエットは、ルイ 14世の宮廷舞踊に取入れられ,全ヨーロッパに広まったと言われてます。
その時彼ルイ14世が、太陽神アポロンに変装して踊った姿から、「太陽王」と言う諢名がついたとも言われています。」
「ルイ14世……太陽王……」
何かもう少しで気付けそうなんだけどな。
「行きますよ。」
バーボンはまた。私を連れて歩き出したのだった。
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作者名:壱 | 作成日時:2018年5月11日 20時