警告2 ページ29
暫しの沈黙が、室内を包み込んだ。
叔父さん、何か言って……
彼は、私を見て優しい笑顔を向ける。
その表情に、私は驚いた。
何で、笑って？
そして私の頭には、叔父さんの手が乗った。
その手は優しく私の頭を撫でる。
「私の心配なら必要ないよ。
むしろ、Aのことが心配なのだ。
彼らが残した大切な子どもなのだからな。
Aが二人を殺したなんて、そんなことが嘘なのは、分かっているよ。」
「叔父さん……」
「話してくれないか。
ブレードチルドレンのことを。
力になりたいんだよ。
大丈夫、Aは一人じゃない。
私が付いてるから。」
視界が滲む。
溜まった涙が、頬を伝って流れ落ちる。
何度も何度も涙なんて流した。
この残酷な世界に生きることに疲れ、死を望みながら、何度も流したはずなのに。
もう、泣くことなんてない。
そう思っていたのに。
私はまだ泣けるみたい。
それってまだ私に、本の少しだけど“人”の部分があるからなのかな。
私は涙を拭うと叔父さんに顔をむけた。
「ブレードチルドレン、呪われた子ども達。
私達は、ホモ・サピエンスなの。」
「ホモ・サピエンス？」
「私達はある意思の元に、この世に生を受けた。
その意思とは、“人間の駆逐”。」
「人間の駆逐……？」
「それを望んでなくても、この体に流れる血は逃れようなく、私達を血の呪いにへと目覚めさせる。」
そうだ
私達は人間を滅ぼす為に、この地に降り立った、悪魔の子ども達。
その悪魔とは、ミズシロヤイバなのだ。
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作者名：壱 | 作成日時：2018年5月11日 20時
