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小話【安室side】 ページ23

高梨Aを完全に見失った。

いったい彼女はどこに行ったんだ。

無事だといいんだが……



あの時、薔薇園で彼女の額にレーザーサイトが見えた時は、正直焦った。

あと少し遅れていたら、彼女は死んでいたかもしれない。



一先ずもうこの園内から彼女は出たと考えて、俺も帰ることにした。





なっ!!




園内入り口に向かった俺の視界には、あの男が映った。




赤井!!




こんな所で堂々と……



それよりも、奴の腕にはぐったりとした高梨Aが抱き抱えられていた。



何があったんだ。




それに、彼女をFBIに取られるなんて……


クソッ……




少しして、救急車のサイレンが聞こえ、高梨Aは運ばれて行った。





行き先は、後でコナン君に聞くとして、一先ず預かった荷物を持って帰るか。



彼女から渡された紙袋に入っている荷物。


中に何が入っているかは分からないが、後で確認してみるか。


何か組織に関連するものかもしれない。



そう思い、俺は歩き出した。



そんな時、肩を叩かれた。



!!



肩を叩かれた!?



何故気付けなかった。



気配がなかったというのか。





俺は警戒しながら後ろを振り返る。






「なっ!!?」




そこには、茶色いネコの着ぐるみがいた。



大きな着ぐるみなら、気付かないはずはない。


何故、俺は気付かなかったんだ。




ネコは、俺に何かを渡す。




それはCDだった。


そこには



「アイズ・ラザフォード?」




確か世界的に有名なピアニストで、まだ若いと聞くが、彼の才能は申し分ないとか。



だがこんな所でCDを配るなんて、何かの宣伝なのか?



俺はそのCDを受け取った。




「僕にですか?」



ネコは頭を縦に振り、続けてまた何かを俺に渡す。




「チケット?」


ネコはまた頭を縦に振り、頷いた。


しかもアイズラザフォードの日本公演のチケット2枚だった。



そして、ネコは俺にスケッチブックを見せる。




“デートにでも使って下さいニャン!”



そしてネコは俺に手を振り、そのまま背を向けて歩いて行ってしまった。



随分気前が良過ぎる様な気がするのは気のせいか?


CDに二人分のはチケットとは……



俺はチケットを見る。



でも、これは使えるかもしれないな。



気晴らしにでもどうかと高梨Aに聞いて、彼女に会う口実となるだろう。



そう考えて。

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作者名: | 作成日時:2018年5月11日 20時

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