Memory ページ12
たまに思い出す。
父の言葉を。
「ねえ、お父さん。」
「何だい?」
「どうして、私は6以外の数字が出ないの?」
私の手にはサイコロがあった。
白い壁に黒字の丸で数字が表され、1の面だけ赤丸で濡られているサイコロだった。
私はそのサイコロを投げる。
するとサイコロは、地に落ちてサイコロの角が当たり、ころんと転がって6の面が出た。
私はそうやって、何度も6の目を出している。
まるで、何か目に見えない大きな力が働いているかの様に。
「私、6以外の数字も出したい。」
「いつか、出せるようになるよ。」
「えっ?」
「いつか、Aが本当の意味で、幸福を手にすることが出来れば、6以外の数字も出せるようになる。」
「本当の意味の幸福?」
「そう。
これからきっと嫌なことばかりが起こるかもしれない。
辛くて苦しい思いをするかもしれない。
そんな運命が嫌になるかもしれない。」
「え〜そんなのやだなぁ。」
「でも、運命を乗り越えられるるのは、最後まで自分を信じられる者だけなんだ。」
「えっ?」
「自分を信じた者だけが、幸福を手にすることができる。」
その時の私には、父の言っていること何てよく分からなかった。
でもその後、私が立たされた残酷な運命を知り、私の前に現れた神に出会い、父の言ったことが分かるようになった。
信じる者の幸福。
私は信じたい。
自分を助けてくれる神が現れることを。
私の対局となる存在である、神様を。
悪魔の対となる神はこの
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作者名:壱 | 作成日時:2018年5月11日 20時