パパは人間じゃない【暗殺教室】３ (ページ31)

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懸念材料ページ31

「殺せんせー、完全に元の体に戻ったわけではないんです。

貴方の体には人間としての形を形成する細胞がまだ残されていました。

その残っている全ての細胞に働きかけをして人為的に細胞分裂を促し、元の体に戻しました。

ですが……そうすれば、同時に細胞核の中にあるテロメアも短くなっていく。

そこまでを止める術は私には持ち合わせていませんでした。」

「テロメア……核内にある染色体の末端に位置する領域ですね。

細胞分裂の度にその領域は短くなり、それがなくなると、分裂は停止すると言われていますね。」

「さすが、殺せんせー。

生物学の知識もお手の物ですね。

そう、そのテロメアをコントロールできれば、貴方の生きられる時間ももう少し長くできたかもしれません。」

「そうですか……」

「大抵の一般細胞はテロメアは復活しませんからね。

まあ一一部生殖細胞系はテロメアーゼという酵素により複製されて復活すると言われています。

要するに、完全なる人間の体を取り戻したとは行かず、一部分だけを戻したというわけです。

全てを完全に戻したら、細胞分裂の可能回数を過ぎてしまい、後に残るのは細胞の死。

つまりは……………」

「あと、どれくらいですかね……」

「さあ、人の寿命はそれぞれによりけりです。

そこからどれくらい引かれたのかさえも、私には把握出来ませんでしたから。」

「そうですか。

ここまで来たなら、生きれる分まで、生き抜きますよ。」

「パパは、長生きできないの？」

不安そうなAに私はもう一度しゃがむと、彼女の頭を撫でた。

「パパが長生きできるかは、君次第かな。」

「私……？」

「君の力が今よりずっと強くなれば、もしかしたら、パパは長生きできるかもしれないね。」

「クロ……それはどういうことですか？」

「まあ、過程の話しですよ。

本当できるかは、誰にも分かりませんから。」

私は体を立たせると、校舎を眺める。

そろそろ、時間かな……

私は幼い私に視線を向けた。