振り向いてくれない彼女【霧隠ラント】

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「大変なんだね」




他人事のように言う

イケメンって大変なんだなぁ。いつも女子達といる九尾くんはもっと大変なんだろうなぁ、なんて呑気に考えていた






ラント「…そういえば名前を聞いていなかったな」

「あ、えと、私はAです。如月A」

ラント「…」






名前を言うとラントくんは黙ってしまった

不思議に思い彼の顔をみると、なぜか微笑んでいた






「…！」







その時の顔はとても綺麗で、今でも印象に残っている








ラント「Aと呼んでも良いだろうか」

「え、え！？べ、別にいいけど…？」







頬張っていたエビマヨ春雨餃子パンを落としそうになった

ラントくんってこんな顔するんだ…いつも真面目な顔でいるからちょっとギャップを感じたかも






ラント「私は霧隠ラントだ」






知ってますよ、あなた噂になってますもん

なんて言ったら引かれそうだったからあえて言わなかった








私は頷いただけだった。








ラント「では、これからよろしく。A」

「あ、うん、ラントくん！」









これが私と彼の出会いだった








それからはラントくんと話すことが多々あった

二年生の半ばまでは色々忙しそうだったけど、話す時間も一緒にいる期間も長かった






私の相談に乗ってくれたり、我儘も聞いてくれたり、彼はほんとに優しくて私の中で大切な人なんだ








だから私のことも頼ってよ、ラントくん

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