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Aがゆっくりと中に入る。
「いらっしゃい!!ってAちゃんじゃないか。どうしたんだい?その顔色」
『こんにちは店主さん、大丈夫ですよ…あはは。あ、いつもの和菓子三個ください』
店主がすぐに彼女の顔色に気づくとAは申し訳なさそうに笑う。
そしてお気に入りの和菓子を三箱購入し、周りの人から心配されながらも店を後にする。
兵助「和菓子を買うためだけに町に来たのか?」
雷蔵「約束ってもしかしてプレゼント用の…?だとしたら誰に…」
勘右衛門「おっ、おれかな!」
八左ヱ門「違うから安心しろ」
妄想する勘右衛門に早口で違うと否定する八左ヱ門。
二人は後ろで軽く言い争いになり、三郎が呆れながら見ているが兵助と雷蔵はそんなこと気にせずAの行方を追っている。
『ふぃ……帰ろ』
雷蔵「!!帰るみたいだよ」
雷蔵が少し離れたところにいる四年生に合図を送ると、それを受け取ったタカ丸が他の四年生に合図を送る。
何事も無かった買い出し、無事に終わると思ったが……
八左ヱ門「A先輩、さっきよりもふらついてないか!?」
町から少し離れた場所で、体力をかなり消費したAの体はもう限界を越している。
あと数歩歩けば転ぶだろう。
滝夜叉丸「私がすぐにっ」
三木ヱ門「ッ!まて、」
滝夜叉丸が支えに出ようとするが、Aの前を歩く男数人が気になって三木ヱ門が止める。
「やぁ嬢ちゃん、今からどこへ行くんだい?」
『えっ…あ、帰ります』
「もう帰るの?少しあっちで話そうよ」
ナンパか?
にしても町から離れた場所でナンパなど滅多にないはずなのだが……。
『すみません、体調が良くなくて』
「…フッ、好都合だな!」
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