雨が降ったあとにはそこにある【水溜りボンド】５

今までと これからと ページ17

リビングでソファーに座りながら、パソコンに映し出される数字を見つめる。
今日できっと、300万人を越せるはず。

やっと私たちもここまで来たんだなって感じがする。
ちょっと3人で昔話をしながら、この瞬間を動画に収めておきたい。


ト「お前ら2人は就職する可能性はあったわけじゃん」

カ「全然そうだよ」

ト「俺途中で消えるわけじゃん」

『当時のトミーが異常過ぎたんだよ(笑)』


*.


ト「俺脱臼したときあったじゃん」

『あー野球のときの！』



*.


(回想)


ト「ただいまぁ」

さぶ「ただいま」

佐々木「ただいまです」

『おかえりー』


玄関から声がして、課題を片付けて撮影を始められる準備をする。
リビングのドアがあいて


ト「やっちゃった(´＞∀＜｀)ゝ」

カ「えっ！？( ﾟдﾟ)」

『えぇぇ！？折った？』


左腕を包帯ぐるぐる巻きにしてるトミーが、えへへと笑いながら立ってる。
その後ろには困り顔のさぶちゃんと佐々木。


カ「なにか知らないけどとりあえず動画撮ろ、そこで説明して」

『事件だ事件だ(笑)』



*.



カ「俺らに隠してたもんね」

ト「救急車に乗ったけどぉ」

『撮影するからってトミーの帰り待ってた私らの気持ちにもなってよ、えぇぇってなったかんね！？』

ト「収録あるんでって言って帰ってきた」

『高血圧で入院しそうになったんでしょ、確か』

ト「そう( ˙-˙ )」



*.



カ「あのとき春休みで、勝負だったんだよね。俺就職しないって」

『そうね』

ト「俺はもうできないからね、あれ？Aは？」

『私は.....』


*.


(回想)


「富永くんと佐藤くんだっけ？一緒にコントやってるの」

『そうだよー』

「地下でいっつも何やってるの？Aのこと就職説明会誘っても一緒に来てくれないし」

『んーまぁ、いろいろと？』

「そろそろ就職に真剣になんないと。あんたほんとにニートになるよ？」


私の周りの友だちは、みんな就職のこと考えてた。


父「お前帰るの俺より遅いな、男か」

『ん、まぁ男だけど...彼氏とかじゃない。友だち』

父「どうせ遊んでるんだろ、遊ぶ暇なんてないってわかってるだろ？なんの為にお前をあの大学に入れたと思ってるんだ」

『わかってるよ』

父「就職してくれないとこっちも困るんだよ、お前に投資した分ちゃんと家にお金を入れてくれよ」

『うん、どっかは探すから』

母「お母さんも心配してんだからな」

『うん』


YouTubeをやってることなんて、言える訳ない環境だった。

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