【刀剣乱舞】二十三世紀より愛を込めて【APヘタリア】 (ページ5)

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この屋敷の大広間は一階の真ん中にある。全員が一番集まりやすい場所、と理由から増築時に設置されている。
本田は集合の合図である大きな鈴を鳴らしてから、大広間にやってきた。そこには既に何振りか集まっていた。

本田はペコり、と一礼して大広間の一番奥の席に座る。すると、集まっていた刀剣の一振りである今剣がひょっこりと本田の前に現れ疑問を投げかけた。

「あるじさま、きょうはどんなようじなんですか？いきなりぜんいんよびだすなんて、よっぽどのことがあるんですよね？」

「えぇ、この本丸の、将来に関係することですね」

「そんなおおきなことなんですか！びっくりです！」

どんなおはなしなんですかねー！と嬉しそうに笑う今剣を見て、本田はとても苦しくなる。
大体本田がこのように全員を呼ぶ時は良いニュースか悪いニュースのどちらか。そして、その殆どが「限定の和菓子が手に入った」や「新たな刀剣男士がやってくる」等の良いニュースばかりだった。

だから、今回の恐らく“悪いニュース”に属するであろう話題を、こんなにも楽しみにしてくれている刀達に伝えなくてはいけない。本田は、苦しみを隠しながら今剣に「お楽しみです」と笑ってやった。

＊＊

全員が集まった大広間はかなりの人口密度だ。襖を開けていないと酸素不足になってしまう程に。
本田はひとつ高い台のその席から皆を見下ろして、全員が居ることをその目で確かめてからゆっくりと降りてきた。

台の下は誰も居ない。政府が『審神者が座るように』と作ったお偉い様が座るような席は性に合わない。そして、それを知る刀剣達は配慮してそこだけを開けて座っているのである。

「皆さん、お集まり頂き、有難うございます」

そう言って丁寧にお辞儀をする本田に、最前列に座る初鍛刀の愛染国俊が不思議だと呟いた。

「……なぁ、主さん。何時もの話ならそんな硬っ苦しくねぇじゃん。 ……もしかして、あんまいい話じゃない？」

「……ふふ、流石愛染君です。なんでも、お見通しですね」

＿＿＿＿嗚呼、私はちゃんと笑えているのだろうか

本田の顔は引き攣り笑顔で、前列の方に座る刀剣たちはざわめき始めた。

「なんだよ、主さん。いい話じゃないって、大阪城とかか？」

「いえ、違います……政府から、我が本丸に依頼が届きました」

そう言って本田は山姥切に目を配らせる。それに気がついた山姥切国広は「わかった」と言って手紙を取り出し、読み始めた。