おかえり、エジョン【２】 (ページ48)

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事務所で作業をしていたら、突然肩を叩かれてびくりと大きく跳ねる。恐る恐る振り返ればそれは、ヨンホだった。

「なんだ、ヨンホか。びっくりした」

YH「びっくりしたのは俺の方なんだけど。大丈夫としか返ってこないし」

あの日、かなりの量の連絡が来ていた。それを見てまた、泣いてしまったのは言うまでもないんだけど。あまりにも多すぎて、仲のいい人への返信が雑になっていたのだ。

「ごめん、心配かけて」

YH「不眠症だって？ヨンミニヒョンから聞いた。もう眠れるの？」

「まだ完治はしてなくて。薬でだいぶ眠れるようにはなったんだけど…」

YH「原因は？」

局でのことと、夢の話をした。もちろん、メンバーとの話は解決した、とも。

YH「じゃあ残る原因はもうひとつの方ってわけだ。未だに連絡は…してないよな」

「そんな勇気ないよ、ほぼ無理やり帰ってきたんだから。俊兄ちゃんも何も言わないし」

YH「家族だからこそ探ってるんだろ、言い辛いだろうし」

はぁ、と小さくため息を付いたヨンホ。ことのすべてを知るのは、ヨンホとボアオンニだけ。私がみんなと一緒にデビューせずに、日本に帰った理由。

YH「長引かせすぎると今後の関わりにも影響してくるよ」

「うーん、分かってはいるんだけど」

YH「大丈夫だよ、十二分ってほどに頑張ってるんだから」

「それが…倒れたから余計に言い辛くなっちゃって」

難しいなあ、と独り言のようにこぼす。

YH「あ、忘れてた。これ飲み物買ってきたけど飲む？」

「わ、嬉しい。ありがとう」

私とヨンホの好きなお店のコーヒーだ。わざわざ買ってきてくれたのかな、優しいな。

YH「懐かしい、昔もこれ飲みながら話したよね」

「あの頃は…デビューしたらなんて夢の話してたよね」

YH「やっと叶えられる」

"一緒にステージにあがりたい"私たちの共通の夢。ヨンホももうすぐデビューだ。その夢が叶う日は、近い。

「デビューのお祝いしないとってセフニと話してたから、また時間空いたら教えて」

YH「俺より2人の方が忙しいでしょ」

コーヒーの味は、あの頃と何一つ変わっていなかった。