おかえり、エジョン【２】 (ページ41)

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帰ってからそれはいっそう増す。

まさか同業者にもああ思われていたなんて。でも、そうだよね。練習生の時にも同じような視線や言葉はたくさん浴びた。だから、同じような人が居ないなんて確証はなかったんだ。

「はぁ…寝よう。寝て忘れよう」

そう思っていつもより早めにベッドに入る。

悶々と頭の中を回り続ける"日本人のくせに"という言葉。嫉妬だってことは分かってるけど、辛いものは辛かった。日本人のくせに、女のくせに。それで私は今まで数えきれないくらいに辛い思いをしてきた。

……だめだめ、こんな事考えてたら眠れない。

何とか眠りについたものの、夢は最悪だった。

広い舞台に立たされた私はひたすら歌って踊っている。その周りは野次を飛ばす当時の練習生や、見た事のあるアイドルや、知らない人。

「日本人は帰れ！」

「お前はEXOにいらない！」

だめ、もっと認めてもらえるようなダンスをしなきゃ。
そこに、あの人の声がする。

「女の子なのに！そんなのは許しません！」

そんな、せっかくの夢が叶う瞬間なのに。辞めてよ、私の夢を奪わないで。

「あなたの夢は応援できません！」

追い打ちをかけるように現れたのは、メンバーやスジョン、スルギやヨンホといった仲のいい人たち。私を蔑むような目でみている。

徐ろにジョンインが口を開く。

「どうして今更帰ってきた？」

その瞬間、私は踊れなくなった。力が抜けるようにその場にへたりこんだ。

「帰ってこなくても俺たちはやれてた」

「エジョンはいらない」

他のメンバーも次々にそんなことを口にする。

「いやあっ！」

飛び起きて、それが夢だと気付いた。

その日から夜眠ることが怖い。またあの夢を見たらどうしようという思い。そして、言えないながらも、実は私はいらないと思われてるんじゃないかという不安がこびりついていた。

私はすっかり眠れなくなっていた。けれど、その原因を誰にも話せずにいた。

本当にそう思われていたら。

その考えに、相談をすることが怖かった。